先週のウォール街は「過去5年来最悪の一週間」。今週の東京市場は……?
2007年07月30日 06:30
【NewYorkTimes】誌も伝えているように、先週のアメリカ市場(ウォール街)は過去5年来でもっとも株価が下落した週となった。同誌ではこれを「Wall Street Has Worst Week in Nearly 5 Years」(過去5年来最悪の一週間)と称している。
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S&P500(スタンダード&プアーズ500種株価指数)は一週間で約5%下落し、ダウ指数は先週最終日の金曜27日に208.10(1.54%)下落し、その前日の311.50の下落に次ぐ下げ幅となった。ダウは1週間で4.23%も落ち込んだことになる。これではウォール街ではなくフォール街(Fall、落ちる)である。
先週一週間のダウ推移。木曜・金曜に特に下げがきついのが分かる。
木曜日に市場が急落した後、アメリカでは第2四半期において経済が力強く成長を続けていることが政府ルートで報じられた。ブッシュ大統領自らも「アメリカ国民は自らの経済のたくましさを再確認してほしい。世界経済は強いことは事実である」と主張したが、それらの発言は投資家に対しては何の支えにもならず、売りは加速したようだ。
この下落はアメリカの低所得者層向け住宅ローン(サブプライムローン)問題の表面化がもっとも大きな要因。これを受けて、金融資金が株からリスクの低い債券などに移る動きを見せており、いわば換金売り的な状況が続いている。また、合併・買収絡みを事業とする企業の営業不振も拍車をかける状態。
日本市場もこの流れを直接受けた形で全面安の展開になったのは記憶に新しいと思う。
日経平均株価の過去6か月間のチャート
日経平均株価チャートを見てもらえばある程度理解できると思うのだが、1万8000円台後半を目指して何度かチャレンジしたもののいずれもエネルギー不足で失速し、アメリカ市場の流れを受けて一気に「崩落」したように見える。恐らくは「1万8000円後半は鉄板だ、大きな材料がないと無理だ」とする判断が多くの市場関係者の間に広まった中で、アメリカでの急落を受け、「これは一度ガス抜きされる可能性が高い。ならば先に売り抜けないと損失が拡大する」と判断し、我先にと売りに出た結果なのだろう。
また、参議院選挙の失望売りの時期とアメリカ市場の急落が重なったのもタイミング的にはぴったりといえる。心理的にマイナス要素が増えれば、売りに回る人の数も増え、連鎖反応的に売りに出されるというわけだ。俗に言う「群集心理」ともいう。
テクニカル的な話は別にしても、多くの人は過去の事例を参考にし、そのパターンが踏襲されるものという考えを持っている。テクニカル理論も突き詰めれば過去のデータを元に法則・方程式を創り上げ、未来を予測するのだから似たようなものともいえる。天井に達するプロセスが2~3月の「中国暴落」の時と比べてゆっくりと確実に上がってきた様子をみる限り、安心感は以前よりも高い。しかし急落の様子や天井値がほぼ同じことから、「今後も似たような展開をするのでは」と考える人も多く、その考えに基づいて売買が行われることは容易に想像がつく。
踏襲するのなら、
日経平均は
1万6500~7000円まで
下落する可能性も
今週のアメリカ市場がどのような動きをするのかにも多分に左右されるが、直近の下落と似たようなパターンを繰り返すとすれば、日経平均はもう一度か二度、窓を開けて下落し、1万7000円~1万6500円を目指すことだろう。万一そこからさらに底抜けすれば、去年9月下旬と11月下旬につけた、1万6000円近辺まで落ちる可能性はある。
ただ、そこまで心配する必要はないのかもしれない。先週末の日米市場の急落の際にも他のアジア市場はそれなりに堅調だったし、各企業の業績は目玉が飛び出るほど悪いわけでもない、どころか良いものが多い。実際、週末の急落時にも一部業績が良かった銘柄は大幅に値を上げている。
日本の某大手証券会社がサブプライムローンで多額の損失を出したことを発表するなど、サブプライムローンの問題は根深いものとしてアメリカ市場の、そして日本市場にも少なからぬ意味で「アキレス腱」として存在している。この問題がアメリカ経済、そして市場にどこまで大きなインパクトを与えるのか、株価と共に注意深く見守り続ける必要はあるだろう。
もっともしてはいけないのは市場全体の動きに押し流され、つられ売りをされる形で急落した手持ち銘柄を、慌てて安値で手放してしまうこと。業績不振や不祥事など自前の責によるものでなければ、遅かれ早かれ株価は正しい評価をされるようになる。市場につられて下落した場合、某個人投資家のようにむしろこれをチャンスととらえ、「なにこれ安い」とばかりに拾うことこそが、投資の醍醐味といえよう。
……ただし「下手なナンピン、スカンピン」という言葉もある。判断はあくまでも自己判断で、そして自分の手の届く範囲で行うのが第一。結局最後に頼りになるのは自分自身なのだから。
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