今調査はインターネットを利用したアンケートによるもので、対象は法人(のウェブ担当者)とブログを持つ個人それぞれ206人。調査期間は5月17日から18日。調査母体数が少なめなため、実情と調査結果にはぶれが生じている可能性があることを考慮した上でデータを見る必要がある。

まず、法人・個人両方に「ブログパーツを知っているか」とたずねたところ、それぞれ42.7％・48.5％が「はい」と答えた。かつて当方(不破)が「タグクラウド」という言葉が分からず「こういった便利な機能が普及しつつある」と記事にし、読者に指摘されてはじめて分かった時のように(参考:【サイトを知的に演出・便利な「タグ一覧」と「ホットなニュース」】、【ブログパーツでタグクラウドを導入】)、「複数のサイトで似たようなものを見かけるが、流行なのか」くらいの認識はあるものの、それが実際には「ブログパーツ」と呼ばれるもので提供されたタグを貼り付けるだけで自分のブログやサイトに共通した機能を設置することができるもの、という概念自身を知らないのかもしれない。考えてみれば「ブログパーツ」のほとんどは「これはブログパーツですよ」と自己主張しているわけではないので、この認知度は仕方ないのかもしれない。

それでは実際にブログパーツを導入している法人や、利用している個人はどれくらいいるのか。「知っている」のがそれぞれ約4割だったことからも分かるが(「知らない」が約6割のため、それらの層に導入していることを期待するのは難しい)、実際に活用している法人・個人はさほど多くないことが分かった。

むしろ個人で3割近くが「利用している」と答えているのはかなり数が多い方と見るべきなのだろうか。

ブログパーツの展開は企業側としては「出来がよく、あるいは機能的で広範囲に利用されればネット上の口コミで大々的な宣伝効果が期待できる」「SEO効果が望める」「ブランド形成に役立つ」などのメリットがある。一方、管理が大変、イメージを損なう使われ方をされる場合があるなどのデメリットも考慮する必要がある。

企業側がブログパーツを使わない、あるいは使っていても不満な点としては「仕組みが良く分からないから」「効果測定が期待できない」が挙げられている。現在ブログパーツは発展途上の段階にあり、これらの点は前者なら啓蒙や流通量の増加、後者は技術やアイディアの蓄積で解決されることだろう。

一方利用する個人側としては、導入しない理由は「分かりにくい」がもっとも多く、逆に導入する理由は「面白そう」「役に立つ」などが上位を占めた。

【ブログパーツを提供する側・使う側の3つの理由、そして3つの注意点】で詳しく説明しているが、ブログパーツは企業側が「機能追加」「面白さ」を提供する代わりに「宣伝」「SEO対策」などを求めるものである。個人側はその逆に、「機能追加」「面白さ」を受け取り、「宣伝」「SEO対策」を手助けすることになる。まさにブログパーツは企業と個人とを結ぶ、ギブアンドテイクの架け橋となりうるものだ。

使う側(個人)の理論としては「役立つもの、使いたいと思わせるものでないと見向きもしない」というのがホンネ。ブログパーツの中には企業側の事情だけを最優先したものや、「とりあえずブログパーツみたいなものを作ってみた」というだけで「事前テストしたのか？」と首を傾げるほど実用向きでないものもいくつか見受けられる。

口コミの話と共通する部分があるが、あくまでも提供する側は「環境を整える」だけ。それでも自然に多くの人に使われ、愛されるようなブログパーツ(例えばYoutubeの動画配信の仕組みとしてブログパーツ形式が用いられたように)を提供してほしいものだ。

(最終更新:2013/08/20)