再生可能な自然エネルギーの発電量、大分県など4県で必要量の2割以上をまかなう

2007年07月17日 06:30

小水力発電システムイメージ千葉大学公共研究センターと環境エネルギー政策研究所は7月9日、再生可能で資源が枯渇せず半永続的に得ることができる自然エネルギーによる発電量が、全国の4県でその地域の電力民生部門需要の2割以上をまかなえる量に達しているとの試算結果を発表した。さらに76の市区町村においては、自然エネルギーのみで領域内の民生用電力需要を見たし、「100%エネルギー永続地帯」と認められたと発表した(【発表リリース、PDF】)。

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この調査は2006年3月末の時点で、各地域の太陽光や風力、地熱、水路式の小型(1万キロワット以下でダムなどの大型は除く)水力発電、バイオマス(生物資源)の5系統における自然エネルギーでの発電施設の年間発電量が、家庭と業務をあわせた民生部門の消費電力量に対しどれくらいを占めるかを市町村ごとに推計したもの。

その調査結果によると、自然エネルギーで消費電力量をまかなえる割合(供給可能率)は全国平均では3.35%に過ぎなかった。一方県別では大分県が30.8%ともっとも大きく、次いで秋田県の26.3%、富山県の23.4%、岩手県20.2%と続き、この4県が2割を超えていた。一方、東京都や大阪をはじめ9都府県では1%未満となり、地理的問題もあるせいか、地域による差が見受けられた。

さらに地熱発電が盛んな福島県柳津町や大分県九重町では3000%台なのをはじめ、小水力発電が盛んな群馬県六合村や風力発電で知られている青森県下北郡東通村などでは1000%を超えるなど、76市町村で自然エネルギーによる発電量が民生の電力需要をうわまわる(電力のすべてが自然エネルギーで確保できる)状態であることが明らかになった。

再生可能な自然エネルギー起源の電力供給状況
再生可能な
自然エネルギー起源の
電力供給状況

調査グループでは同時に、再生可能な自然エネルギー電力供給量のうち6割近くが小水力で占められていることにも着目し、「日本は地形が急峻である上に、欧米の3倍以上の降水量に恵まれている。日本の原風景には風車ではなく水車があったことを考えれば、今後、もっと小水力発電に注目することが必要ではないか」と提言している。

さらに枯渇性エネルギー(化石燃料など埋蔵資源を利用したエネルギー)が地球環境に及ぼす影響が問題視されていることもあわせ、地域によって自然エネルギーの創生に差があることから、「地方自治体におけるエネルギー政策を立ち上げる」「国は特別会計の一部を地方自治体の自然エネルギー普及に振り向ける」「大都市圏では自然エネルギー証書の購入などの形で自然エネルギーの普及拡大に寄与すべき」などを提示している。

軍事・経済用語に「地の利」という言葉があるが、その観点からすれば日本はまさに地形が急で降水量も多く、小規模の水力発電に適した土地であることに違いない。「チリも積もれば山となる」ではないが、大規模なダムだけでなく、小規模な小水力発電にも注力し、電力不足に役立てるべきなのかもしれない。

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