ミートホープ問題で広がる商品回収・代金返還の告知
2007年06月30日 19:25
先日から世間を騒がせている、ミートホープ社による牛肉偽装事件。肉の問題はアメリカ産牛肉のBSE問題のみと思われていただけに、消費者にとっては「敵は国内にもあり」ということで、大きな話題になっている。次から次へと事実が報じられ、まさに「不祥事の宝箱やぁ」状態。事件そのものは「農林水産省の専用告知ページ」や各種報道にお任せするとして、ここでは消費者である自分達にとって直接関係しそうな、【国民生活センター】にまとめられている代金返還や商品回収に関するお知らせのまとめについて報じることにする。
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国民生活センターでは、その名の通り国民の生活に直接関わる情報の提供を行っている。今回のミートホープ事件でも、数多くの情報が企業から発せられているが、それに関する情報はここにも集約されている。【回収・無償修理等のお知らせ】を見ると、最近は今件絡みのものばかりだ。記事執筆時点での最新情報10件を列挙すると次のようになる。
シンケールス「洋生菓子(代金返還)」 (2007年6月27日)
日本製粉「冷凍食品(代金返還)」 (2007年6月25日)
ジェイティフーズ「冷凍食品(代金返還)」 (2007年6月23日)
ニチロ「コロッケ(代金返還)」 (2007年6月23日)
旭松「冷凍食品(代金返還)」 (2007年6月22日)
味の素冷凍食品「コロッケ(商品回収)」 (2007年6月22日)
米久「コロッケ(代金返還)」 (2007年6月22日)
加ト吉「コロッケ(代金返還)」 (2007年6月21日)
東芝「テレビ(無償点検・修理)」 (2007年6月21日)
日本生活協同組合連合会「コロッケ(商品回収)」 (2007年6月21日)
一番上の「生洋菓子」はチーズケーキの消費期限の打ち間違いで、これは肉問題とは無関係。東芝の「テレビ」は回路基盤の問題でこれも別物。しかしそれ以外はすべて今回のミートホープ絡みのもの。それだけ今件の影響が多くの企業にわたっていることがわかる。
6月20日の報道以降の加ト吉の株価。
しばらくは軟調に推移したが事態の詳細が明らかになり、
さらに大証の監理ポストが解除されて大幅上昇に転じた。
詳細はお知らせページから各企業のリリースを閲覧するか、あるいは直接企業のページから参照して欲しいが、「代金返還」は手持ちの問題商品を送ってくれれば送料も合わせて(あるいは着払いで送ってくれれば)代金をお返しするので食さないで欲しいというもの、「商品回収」は原材料に問題があったので店頭から商品を回収しますよ、というもの。いずれにしても原材料にあれだけの諸問題があることが明らかになったのだから、仕方ない……というかとんだとばっちりを受けたといえよう。
以下は余談的な話になるが、今件と株価についての話を少々。今問題では6月20日前後に事態が発覚した直後は【加ト吉(2591)】関連の商品ばかりがクローズアップされ、これが結局同社の株価を大きく押し下げることになった。結局北海道の支店長が廃棄分コロッケの横流しをしていた事実は判明したものの、全般的にはむしろ被害者サイドで、影響のある会社も加ト吉ばかりではなかったのだが、「ざっとしか見ない」傾向が強い多くの視聴者にしてみれば、先の循環取引のこともあるので「また加ト吉か」と思ったに違いない。
ただ、きちんと情報を収集して分析していた人なら、この時点で「今件は加ト吉は問題を引き起こした側ではなく、被害を受けた側だ」と理解していたはず。雰囲気的な投売りを上手に買い拾い、今頃ほくそ笑んでいるのではないだろうか(もちろん株価がその後上昇したのは、大証が監理ポスト状態を解除して「上場廃止の可能性が無くなった」と判断されたのが主要因。だが、今件肉問題において加ト吉が主に関与しているかのような第一印象がまん延していたものの、他の企業にも影響が及んでいることが明らかになって、その雰囲気が払しょくされたことも関係がないとは言えない)。
「不祥事の宝箱」的なミートホープ社については語るべき言葉も見つからない。それは別にしても、今回の加ト吉の株価の動向のように「世の中が誤解しやすい」事象での動きを機敏に読み取り、世間一般の流れとは逆行して(しかも自分自身が「正しい」と思った道を行き進み)成功を収めるのも、投資の楽しさの一つといえよう。
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