「梁山泊」事件で複数企業へ株価操作の疑い

2007年06月10日 12:00

株式イメージ[このページ(jiji.com)は掲載が終了しています]が伝えるところによればパチンコ情報提供会社「梁山泊」グループオーナーらによる株価操作事件で、証券取引法違反(相場操縦)の罪に問われた同社の実質的なオーナーである豊臣春国被告や、投資顧問会社役員川上八巳被告に対する初公判が6月8日、大阪地方裁判所で開かれた。この公判の中で両者は起訴事実である【ビーマップ(4316)】の株価操作についてその事実を認め、さらに他社株についても同様の操作をしていたことが検察側の冒頭陳述で明らかにされた。

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両者は株式の買占めや増資の引き受け、役員の派遣などで複数の上場企業の経営に関与し、株価操作を行った上で手持ち株式を高値で売却、多額の利益を得たことが指摘されている。ビーマップの場合は「40万円まで(株価を)つり上げろ」と指図したとのこと。

また【日経新聞】によればこの公判の中で、「アイ・シー・エフ」(現在は【オーベン(4797)】)についても株価操作をしていたことを検察側が冒頭陳述で明らかにした。調べによれば両被告らはアイ・シー・エフの株式を大量購入して筆頭株主になったあと、梁山泊グループの債務超過状態の広告代理店を高値で買い取らせたり、両者が関与する別の上場企業と不採算事業の提携を結ばされたりした。

梁山泊グループの「ビタミン愛」が大株主になった2004年1月以降のアイ・シー・エフ(オーベン)の株価。
梁山泊グループの「ビタミン愛」が大株主になった2004年1月以降のアイ・シー・エフ(オーベン)の株価。

さらに業績を仮装上方修正したり、虚偽の利益を反映させるなどして業績が向上したように見せかけた上で株価をつり上げ、手持ち株を高値で売り抜け、多額の利益を確保したとのこと。元記事ではこのような「大量株式購入で経営に関与→業績偽装を強要して株価をつり上げ→持ち株を高値売り抜けで利益確保」という方式を「アイ・シー・エフ方式」と呼んでいたという。

今件については昨今の新興市場の低迷の一因である「新興市場の信頼感の欠如」の要因の一つとして、以前から話題となっていた。経済誌でも例えば週刊東洋経済の2007年3月24日号には3ページにわたる特集が組まれており、そこではまさに今回初公判内で語られたビーマップとオーベンに関する構造が描かれている。さらに同記事ではその2社以外に、少なくとも3社の新興企業が関連するような記述がある。

いわば市場を「食い物」にしたような一連の動きを、検察側がどこまで把握し、追及できるか、今後の公判の推移を注意深く見守りたいところだ。

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