【更新】幼児の「長テレビ」は社交能力にマイナス! 兵庫教育大などの調査で判明
2007年06月05日 12:30
[読売新聞]が伝えるところによると、幼児にテレビやビデオを長時間見せることによって、譲り合いや順番待ちなどといった他人との付き合いの中ではぐくまれる社交性などの「社交能力」の発達にマイナスの影響を与える恐れがあることが、3歳6か月児1180人を対象にした兵庫教育大や岡山大学などの調査で明らかになった。
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この調査で対象としたのは、岡山市・岡山県倉敷市で2001年8月から9月に生まれた、3歳児に行う健康診査の対象となった2035人。そのうち1180人の保護者が回答した。
子どものグループを「一日あたりのテレビ視聴率」で「2時間未満(I群)」「2時間から4時間(II群)」「4時間以上(III群)」に分類し、それぞれの子どもたちの発達を比較。その結果、テレビを見ている時間が長い子どもほど、言葉を発し始める(意味のある片言を2語以上語る、を基準)時期が遅い結果が出た。
具体的な事例は元記事に掲載されているが、
■譲り合いが出来る用事の割合(お菓子の分け合い、おもちゃの貸し与え)
・I群とII群をあわせた群体……96.3%
・III群……80.2%
■ブランコなどの順番を待つことができる割合
・I群……95.1%
・II群……96.3%
・III群……76.5%
■進んで他の子どもの世話を焼く割合
・I群……84.0%
・II群……86.4%
・III群……60.5%
などという結果が出て、「テレビを毎日4時間以上見ている子どもには特に、社交性に劣る」傾向が見られることが分かった。
今件の詳細は関連ページにもあるように、日本小児科学会雑誌の第111巻第3号に掲載されているもので、その中の「3歳児におけるテレビ・ビデオ視聴時間と発達との関連」を元にしていると思われる。本紙は手元にないがサイトに記載されている概要によれば、上記データ以外にも
・テレビを観る時間が長いほど言語(大小の理解)や社交性(トイレや順番)の項目でマイナスの結果が出ている。
・保育施設に通わない子どもはテレビを観る時間が長くなり、結果として発達が遅くなる可能性がある。
・4時間/日以上のテレビやビデオの視聴は、3歳6か月児の社交性の発達に影響を与えていた。
などがうかがえる。
元記事では研究に参加した一人の加納亜紀・現園田学園女子大助手の言葉として、今回の調査結果について「長い時間テレビを見ていると、他人と関わりあう機会を減らしてしまうためではないか」と説明している。
子どもの長時間のテレビ視聴と社交性の問題については、他の教育機関や研究家も研究テーマとしている。例えば【乳児期の発達と映像メディア接触(チャイルド・リサーチ・ネット上のレポート)(PDF)】では「2歳以下のテレビ接触は推奨できない」「年長時でも1日2時間以内にとどめるべき」などについて、日米の調査結果を元に詳細な分析を行っている。
このレポートの詳細に関する吟味・精査は(余力があれば)次の機会に譲ることにしよう。しかし、今回報じられた内容とあわせ、「テレビと子どもの関係」を考え直すきっかけとなる話であることだけは確かだろう。
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