携帯電話の乗り換え制度・「料金を安くするため」が過半数だが「予想より高い」が3割
2007年06月21日 08:00
【ブランド総研】は6月20日、MNP制度(ナンバーポータビリティ制度、携帯電話の会社を替えても電話番号はそのまま維持できる制度)に関する調査結果を発表した。それによるとMNP制度を利用した人の過半数は「利用料金を安くするため」に行ったものの、実際には「予想より高い利用料金となってしまった」が3割を数え、期待ほど効果が得られないと感じている人が少なからずいることが明らかになった(【発表リリース】)。
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今調査はMNP制度がスタートしてから携帯電話会社を乗り換えた16歳から49歳の男女1560人(各携帯会社毎に約500人ずつ)にたずねた結果を集計したもので、MNP制度を利用した人としない人の双方を含む。
今調査に先立ち携帯電話大手三社の乗り換えシェアが測定されたが、そのデータによるとソフトバンクが一人勝ち状態であることが分かる。乗り換え後にどの会社の端末を利用しているかという「移転先シェア」ではドコモが横ばいなのに対しauがなだらかな下降線をたどっており、それに合わせてソフトバンクがシェアを拡大しているのがわかる。このことから、auのシェアをソフトバンクがほぼ丸ごと「食べている」ことが想定できる。
MNP制度導入後の大手三社のシェアなど。
●乗り換え目的は「料金節約」が過半数
携帯電話の会社を乗り換える目的は色々と想定できる。気になった機種があったから、友達がその会社の端末を利用しているから、サービスが良いからなどなど。しかしもっとも重要視されていたのはやはり「料金を節約する」ためだった。
携帯電話会社の乗り換え目的
端末の性能やサービスの違いではなく「料金を安くするため」に乗り換える人が多いということは、逆に考えれば性能やサービスの違いでは三社の差を見出しにくくなっていることを意味する。かつてのように「A社だと格好いい端末が多いけどつながらないエリアが多いからな……」と悩みつつ携帯電話会社を選択しなければならない状況が無くなった現在、もっとも分かりやすい差別化は「料金」、ということになるのだろうか。
●乗り換え後に「料金に不満」は3割
では実際に乗換えをした場合、その「料金を安くしたい」という要望はかなえられているのだろうか。「予想通り(安くなった)」と「予想以上に安くなった」をあわせると過半数を超え、多くの人が期待通りの成果を得られたことが分かる。
乗り換え後の料金の変化(左)と、料金変化に対する印象
しかしその一方、「かえって予想より料金が高くなってしまった」という人も29.8%と3割近くを占め、期待はずれに終わったと考えている人も少なからず存在していることが分かる。
ただこの料金に対する印象は、移行先の会社によって大きく異なる。auとドコモが「安くなった」「変わらない」「高くなった」の割合が大体1対1対1(3割強ずつくらい)なのに対し、ソフトバンクの場合には7割以上が「安くなった」と答えており、「高くなった」はわずか1割に過ぎない。レポートにもあるようにこの結果は、ソフトバンクの料金体系、特にホワイトプランが大きく作用しているものと思われる。
よほど奇抜か斬新なデザインや飛びぬけた機能でない限り、他社との差別化が難しくなった携帯電話競争において、残る競争要素は料金という時代であることがうかがえる今回の調査結果だが、一方で「サービスが多すぎてよく分からない」「説明が不十分」「手続きが面倒」「費用がかかりすぎる」などの不満点も多く寄せられている。
似たような話をどこかで聞いたことがあるような気もするが、携帯電話業界も「お客のために」「他社との区別化を図る」ためにサービスを多様化したところ、選択肢が多くなりすぎてお客もメーカー側も把握しきれない状況なのかもしれない。「シンプルイズベスト」というわけにはいかないが、料金体系においても、今後はもう少し「分かりやすい」上での安さが求められることだろう。
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