ジャスダック銘柄の外国人保有比率、過去最高の23.5%に。でも……

2007年06月24日 12:00

【ジャスダック証券取引所】は6月22日、2006年度のジャスダック市場上場銘柄の株主分布状況を発表した。それによると外国人※の保有(単元数)比率は2005年度の5.6%から大幅に増えて23.5%となり、1994年の調査開始以来最高の数字を記録した(【発表リリース、PDF】)。

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今回発表分のデータによると、株主数は2005年の294万3896人から大幅に増加した350万8405人になり、個人投資家に限ると286万4028人(97.3%)から342万3341人(97.6%)とますます増えている様子が分かる。相変わらず新興市場が個人投資家の人気で支えられていることがうかがえよう。

東証などと共にジャスダック銘柄でも単元株数の引き下げが積極的に行われていることから、投資単価が下がり、投資しやすい銘柄が増えているのも、個人投資家の増加の一因と思われる。また、新興市場株式が全体的に値を下げつづけ、「以前と比べると」割安感が出ていることも株主数の増加につながっているようだ。

また、株主数ではなく所有単元数で比率を算出してみると、2006年度は事業法人などが30.2%、個人が39.0%となり、外国人は23.5%と大幅に上昇した。

2005年度・2006年度の単元数比率によるジャスダック市場のシェア。
2005年度・2006年度の単元数比率によるジャスダック市場のシェア。

単元数比率だけみると「外国人」の保有比率が大幅に上昇し「海外投資家が大挙して押し寄せてきたのか」という錯覚を見出しかねない。しかしこれにはカラクリがある。リリースでも説明されているが、【シーマ(7638)】が元々大規模な株式分割をして「単元数比率」では2005年度で全体の66.46%を占めていること、そして2005年から2006年の計測時期の間に、10対1の株式併合を行っていることが大きな要因となっている。

つまり、「個人投資家が多数を占めるシーマ株式の数がジャスダック市場全体の多数を占めていたので、必然的にジャスダック市場全体でも個人投資家の(単元数)割合が非常に大きかった」「10対1の株式併合をシーマが行ったので、同社の単元数におけるシェアが激減し、結果としてジャスダック全体におけるシェアも減った」ということになる。

つまり今回の「単元数比率で外国人が大幅に増加した」のはむしろ「正常に近い表示値に戻った」だけであり、何かをきっかけとして大幅に外国人による買い進みがあったわけではない。

今後新興市場が本格的に復帰するためには、このような「おかしな数字」が統計結果として出ることのないよう、取引所側が監視を強めていく必要があるだろう。

※外国人:外国の法律に基づき設立された法人、外国の政府・地方公共団体及び法人格を有しない団体、並びに居住の内外を問わず日本以外の国籍を有する個人。よく言われる話だが、「黒い目をした外国人」こと外国法人を経由して日本人が買っている場合もあるので、一概に「外国人」=「日本人以外」と言い切ることはできない。

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