株券印刷会社の社員がインサイダー取引で逮捕、親族らにも情報を漏えいし1億円以上の利益

2007年06月08日 08:00

株式イメージ東奥日報などが報じたところによると、株券などの印刷会社【プロネクサス(7893)】の女子社員が取引先からの株券の印刷注文を元にその会社の増資など、未公表情報を知った上で株を売買し利益を上げていたとして、証券取引等監視委員会は6月7日にこの社員員佐々木美千子容疑者(43)やその夫、秋田県に住む親族などをインサイダー取引の容疑で告発、これを受けて秋田地方検察庁も6人を逮捕したことが明らかになった。インサイダー取引による利益は1億円を超えていた。

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プロネクサスは国立印刷局と共に東証から「上場企業の株式を印刷することを認める」というお墨付きをいただいている8つの「適格株券印刷会社」のうちの一つ。報道や【プロネクサスのリリース(PDF)】によると、増資や分割で新たな株券が必要になる際に企業がプロネクサスに株券の大量印刷発注を知った同社員は、「増資や分割が行われるから株価が上がる」と判断し、夫や夫の父母、兄弟に電話や電子メールで連絡を入れて該当銘柄を購入させ、実際に増資や分割が行われて株価が上昇した後に売り抜けさせた。

このインサイダー取引は2005年4月から2006年3月頃まで行われ、【伊藤園(2593)】【三光合成(7888)】など合計で18銘柄、15万9000株が売買された。そして1億1000万円もの利益を得ていたという。リリースによると同社員は2006年6月12日に退職願を出して7月14日を最終出勤日とし、9月12日に自己都合退職をしている。が、同月12日には証券取引等監視委員会から証券取引法違反容疑が生じているとしてプロネクサスに連絡が入ったとのこと。

プロネクサスでは今件を受けて深く謝罪すると共に情報管理体制のさらなる強化や、全社員に株式取引の事前届出・事後報告を義務付けることにしたと発表している。

今件は例えるのなら「クイズの答えを知っている事前に関係者が知人などに答えを教えて正解の回答をさせて応募させる」「試験問題を作った印刷会社がその内容を受験する自分の子どもに教える」ようなもので、管理と信頼が前提のシステムにおいては「絶対にやってはならないこと」の筆頭に挙げられる。市場の公明正大さを損ないかねない今事件には、関係各方面も厳粛に対処してほしいものである。

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