宇宙に羽ばたく「宇宙日本食」、12社29品目が決定

2007年06月28日 07:00

宇宙日本食イメージ宇宙航空研究開発機構は6月27日、宇宙開発委員会を開催し、宇宙日本食の認証を行い、その結果を発表した(【発表リリース】)。これらの宇宙日本食12社29品目は国際宇宙ステーション(ISS)に滞在する宇宙飛行士に提供される。また、日本国内では初の認証宇宙食となる。

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リリースによるとこれらの宇宙食は宇宙航空研究開発機構が管理するISS食品リストに加えられると共に、滞在する宇宙飛行士の搭載宇宙食として選定された場合には、実際にISSに運ばれ、滞在期間中の食事メニューに加えられます。宇宙航空研究開発機構では来年後半に予定されている、若田光一宇宙飛行士の長期滞在時からこの宇宙日本食をISSに供給することを目指しているという。もちろん日本人宇宙飛行士だけでなく、他の飛行士にも供給される。

27日にはこの食品の展示会・試食会も開催され、そのようすが各報道でも伝えられた。NHKなどによれば、元々宇宙食は経験豊富なアメリカとロシアが開発しており、メニューもおのずからこれらの国によるものがほとんど。この「宇宙日本食」が登場したのは、今年3月に若田宇宙飛行士が記者会見で

「宇宙で美味しいみそ汁を飲みたい。日本そばを持っていって食べれれば……」


と発言したことがきっかけとなった。そして関係者の「日本人宇宙飛行士たちに美味しい日本食を」との思いから実現したという。

狭い空間内での長期間作業を求められる宇宙飛行士にとって、食事は体力維持のためだけではなく、ストレス解消とモチベーションの高揚に欠かせないもの。それだけに、「日本食を食べたい」という思いはある意味切実なものとして受け止められたのだろう。

宇宙食はその食べる状況の特性から、常温で長期間保存できるのはもちろん、水分・粉末が飛び散らないのが条件となる。精密機械を取り扱っている場所である以上、水分や粉末は大敵となるからだ。

採用された宇宙日本食の一つ、キユーピー製のマヨネーズ(左)とおかゆ(右)
採用された宇宙日本食の一つ、キユーピー製のマヨネーズ(左)とおかゆ(右)

それらを考慮した「宇宙日本食」を試食したレポートによれば、例えば「さばの味噌煮」は煮汁に粘り気がついており、汁が飛び散らない工夫がされていたり、魚料理は匂いが船内にこもるのでこれを防ぐため水蒸気で匂いを飛ばす工夫が施されている。また、おにぎりはお湯を使ってほぐした上で、容器内で形を整えてから食べる。ただしノリは食べている最中に飛び散るので採用されなかった。

尾西食品の「しゃけおにぎり」
尾西食品の「しゃけおにぎり」

詳細は【宇宙日本食の認証結果について(PDF)】や上記リンクに記載されているが、【味の素(2802)】【カゴメ(2811)】【キユーピー(2809)】【日清食品(2897)】【ハウス食品(2810)】など、常日頃我々が食している食品メーカーによる、ごく普通の日本食がほとんど。中には[山崎製パン(2212)]の「羊かん」のように、普段店頭で販売されているものがそのまま宇宙食としても使えるのでは、と思えるものもある。

また、今回の宇宙日本食の開発は、今後宇宙分野における技術の底上げだけでなく、そのノウハウを活かした非常食の開発(宇宙食が求められている要素と非常食のそれは共通点が多い)、栄養強化食品への応用、常温保存技術などにも役立つことだろう。特に非常食分野では注目すべき点は多い。鳥インフルエンザによるパンデミック対策や、地震などの災害時の食料確保、さらには食料受給に関するリスク軽減などにもプラスになる。

今回の「宇宙日本食」の認証が今後の日本における宇宙開発への注力・注目にプラスとなるだけでなく、さまざまな分野に広まることを期待したいものである。

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