有料モバイルサイトからの退会理由は「もうつまんないから」

2007年05月28日 06:30

モバイルイメージ【Webマーケティングガイド】が5月25日に発表したリサーチ結果によると、若年層の有料モバイルコンテンツ利用者がサービスを退会(解約)する最大の理由は「そのコンテンツに飽きたから」であることが明らかになった(【発表リリース】)。

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今リサーチは10代から30代のモバイルユーザー300人に対して行われたもので、キャリア比率はDoCoMo:48.3%、au:40.0%、SoftBank:11.7%。データ取得絶対数の少なさとキャリアの偏りから、モバイルユーザー全体の性向とは多少ぶれが生じていることを考慮に入れる必要がある。

辞める理由は「飽きたから」「高いから」

調査結果によるとすでに事前の同様のリサーチで「7割以上のユーザーが三か月以内にコンテンツを解約してしまう」という傾向が出ていることを前提に、その退会理由をたずねたところ、「そのコンテンツに飽きたから」が最も多く38.7%、次いで「料金が高かったから」が33.0%と続いている。

有料のモバイルコンテンツを解約した理由(複数回答)
有料のモバイルコンテンツを解約した理由(複数回答)

「他に良いコンテンツが見つかったから(今のコンテンツを解約した)」とする回答が2割にも満たないことなどと併せて考えると、モバイルコンテンツのユーザーはテレビのチャンネルを変える時のように「色々とコンテンツを渡り歩き、少々興味が出たらそのコンテンツで多少の時間を費やし、少しでも興味が薄れたら解約して別のコンテンツを不特定多数の中から探す」という、放浪者型スタイルを採っていると推定される。

これを裏付けているのが「料金が高かったから」とする答えが「そのコンテンツに飽きたから」に続く高回答数であること。面白みが減って費用対効果の天秤のバランスが崩れたという考えもあるが、同時にモバイルコンテンツ独自の仕組み(多くのコンテンツでは「初月は無料で二か月目から有料」)も影響している。

元レポートでも言及しているが、要は「無料ならそれなりに遊べるけど、月●×円じゃちょっと……」という、継続するか解約するかぎりぎりのラインに位置づけられるコンテンツが多いということなのだろう。

退会しない律儀なユーザーがプレイしているものは?

次に、「飽きた」「高いから」「つまらないから」などの理由で退会することなく、一度も有料モバイルコンテンツを退会したことがない人に限定して、いつ退会するのかそのタイミングをたずねたところ、「特に決まっていない」が圧倒的に多く7割近くを示した。

「一度も有料モバイルコンテンツを退会したことがない」人がいつ退会するのか(複数回答)
「一度も有料モバイルコンテンツを退会したことがない」人がいつ退会するのか(複数回答)

コンテンツの内容や料金で変えるつもりがないのなら、あとはシステム的な問題で辞めるのだろうか、という疑問からによる質問だが、機種変更や料金システム、メールアドレスの変更などによる退会の可能性はいずれも1割前後にしか過ぎず、68.9%が「特に決まっていない」と答えている。

この点について元レポートでは「モバイルユーザーは非常に移り気な性格にある(から、特に理由も決めずに思いつきで変える可能性がある)」という推定を打ち出している。

この推定も間違いではないが、むしろモバイル(携帯電話)の特性を考えると「生活習慣に組み込まれており、今のところ退会するつもりはない」という状態にある、と考えた方が正解に近いのかもしれない。

例えばクリアものや流行りもののゲームなら数か月連続して遊べば新しい類似サービスが登場したり遊びつくしてしもうことだろう。逆に将棋や麻雀、オセロやテトリスなどのように単純明快でいつでも遊べるものや、継続的に情報を配信するもの(ニュースや天気予報)なら、より良い代替コンテンツが登場しない限り継続利用するものだ(新聞やプロバイダーと同じようなものだと表現すれば分かりやすいだろうか)。


コンテンツの配信側としては継続的にコンテンツを利用するお客が多ければ多いほど利益も確保できるし、より優れたサービスを提供できる機会も与えられる。「継続利用者の増加」「サービスの拡充」「さらなる利用者の増加」という、プラスのらせん階段を登ることができればしめたもの。タイミングや運もあるが、モバイルコンテンツではこのチャンスが比較的多いのも特徴だ。

(有料)ユーザーのハートをがっちりとつかむには、魅力的な内容であるのはもちろんのこと、「日常生活に溶け込むようなコンテンツを提供」するか、あるいは「いつアクセスしても斬新な内容を作り出す」かが求められる。後者はニュースや天気予報など日々変わりうるコンテンツを見つけ出すか、CGM(Consumer Generated Media、利用者が内容を創って行くメディアのこと)の仕組みをうまく活用することが要となるだろう。

あるキャリアでは公式サイトに対しイベント向けなど特殊事例をのぞき、最低でも一年間は継続してサービスを提供するよう義務付けている。だが実際には半年程度で見切りをつけたくなるような会員数しか得られず、あとは赤字を垂れ流しながら惰性的にサービスを提供しているコンテンツも少なくない。

モバイルコンテンツの利用者は移り気であり、テレビのチャンネルを変えるような感覚でコンテンツを乗り換える。また、無料サービスも続々登場しているので、わざわざお金を払ってまで利用したくなるような魅力を用意する必要がある。それらを考慮した上で、ユーザーのハートをつかめるような仕組みを作り提供すれば、多くの人があっという間に利用するようになる。

このモバイルコンテンツ上の独自文化ともいえる傾向をつかみ、アイディアを盛り込んだ有料サービスが、今後話題となり、多くの人に愛されるようになるのだろう。


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