防衛省、各種レーザー兵器の研究開発に着手

2007年05月14日 06:30

レーザーイメージ『毎日新聞』などが報じたところによると、【防衛省】は高出力のレーザー兵器の研究と開発に来年度から着手する方針を固めた。主に弾道・巡航ミサイルに対処し、防空能力の向上のためとしている。

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日本周辺を飛来する敵性弾道・巡航ミサイルの迎撃には現在、地上配備型のパトリオットの最新型「PAC3」と、海上自衛隊のイージス艦に搭載する海上配備型の「SM3」を用いる方針を取り入れ、実戦配備を進めている。

元記事では機動性・運用性が高いことからABL(航空機搭載レーザー)についても言及されているが、通常地上設置の防空用兵器を航空機に搭載するという考え方は【米軍、F-15などの戦闘機にパトリオットミサイルPAC3搭載実験】にもあるように、すでにPAC3を搭載する方法がアメリカでも検討されている。

今件の「レーザー兵器開発」については、すでに4月に防衛省の技術研究本部から提出・公開された中長期技術見積り(PDF)にその姿を見出すことができる。それによると、

・武装工作船への精密攻撃を行うため高出力レーザーなどの指向性エネルギー兵器が必要
・弾道、巡航ミサイル対処において、迅速かつ正確に任務を果たせる高出力レーザー、マイクロ波技術が必要
・武装工作船や特殊部隊対策として、人的被害を抑えつつ敵勢力の情報、指揮、通信、戦闘機能のみを喪失させうる、高出力レーザーやマイクロ波などの照射技術が必要


と具体的に説明している。そして「指向性エネルギー兵器技術」の項目を設定し、10年から15年の間に技術的課題を解決したいという目標の設定をしているのが分かる。

レーザー兵器は実用化できれば(気候に効果が左右されるなどの弱点はあるものの)通常兵器とは別系統の運用・用法となるため、(選択肢が増える観点からも)有益なものとなりうる(エネルギーをパック化できれば、補給面でも有益)。しかし現状ではレーザーの収束や出力するエネルギーの確保問題など、解決すべき課題は多い。

技術の進歩などで早期開発と実用化に期待したいのだが、現状ではなかなか難しいというのが実際のところなのかもしれない。


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(最終更新:2013/08/29)

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