トムソン、ロイターに買収打診を正式発表

2007年05月08日 12:30

株式イメージ先に【今度はロイター通信にカナダのトムソンが1兆9130億円で買収提示との報道】で報じたように、先日カナダの金融情報サービス【トムソン(Thomson)】がイギリスの情報配信会社【ロイター(Reuters)】への買収交渉に入ったと欧米各紙が報じた件でトムソンは5月7日、これを正式に認め、買収を打診したと発表した(【発表リリース】)。トムソンはロイターの声明と同じく、ただしロイターに対してと明記した上で「予備的接触を行った(made a preliminary approach)」とリリースで語っている。

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ロイター側もすでに「予備的アプローチを受けた」というリリースは5月4日段階で発していたが、この時は具体的相手名は公開していなかった(もっともトムソンという名前は各紙の報で伝えられており、世界中を駆け巡っていた)。

今回トムソン側が出したリリースは次の通り。

Thomson Confirms Preliminary Approach to Reuters
(トムスンが予備的な接触をロイターに行いました)
05/07/2007
(2007年5月7日)

The Thomson Corporation (NYSE: TOC; TSX: TOC) confirmed today that it has made a preliminary approach to the Board of Directors of Reuters Group Plc.
(トムソンは今日、ロイターに対して予備的な(買収のための)接触を行いました。)
that may or may not lead to an offer being made for Reuters.
(ただし、ロイターへ具体的な条件提示をして買収提案をするかどうかはまだ決めていません。)
A further announcement will be made in due course.
(何か新しいことがあればまたお伝えします)


要は、「具体的条件面での提示はまだ(正式に公開するようなものは)していない」ということと、トムソンがロイターにラブコールを送ったという確定要素以外は、先のロイターの発表同様具体的な話は一切語られていないことになる。

先の記事にもあるように、金融情報サービスのシェアで最新のデータではブルームバーグがトップで33%、トムソンは11%に過ぎず、ロイターは23%を占めている。仮にトムソンがロイターを買収すれば、あわせて34%となり「現状では」わずかにブルームバーグを上回ってシェアトップになる。また、単純な足し引き計算以外でも、トムソンはカナダを中心とした北アメリカ地域に強く、ロイターはヨーロッパやアジアで強固な基盤を持ち、両者の提携・買収は相乗・補完的な効果を示す可能性がある。

ロイター側の反応は今のところなく、今件については先の「予備的接触を受けた」以上のものはない。なおロイターには買収防衛策の一つとして、議決拒否の際に1株で過半数の議決権を持つ「黄金株」を会社(正確には「ロイター発起人会社」)に与えているため、敵対的買収は事実上不可能。先の報道では買収提示額は80億ポンド(1兆9130億円)以上とされていたが、具体的にどの程度の額が駆け引き上提示されるのか、そもそもロイター側には買収に応じる余地があるのかどうかなど、興味は尽きるところがない。

(最終更新:2013/08/21)

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