【更新】「オール電化」とガス会社の攻防・現状では電化優勢

2007年05月06日 12:00

台所イメージ[産経新聞]は5月5日、家庭用の電源をすべて電気でまかなう「オール電化住宅」の普及件数が2007年3月末で200万件を超えたことを明らかにした。2006年度だけに限っても49万件近い増加を示しており、急速に普及が進んでいることがわかる。これに対しガス業界は戦々恐々としている状況で、【東京ガス(9531)】では2007年度の「オール電化対策費」を49億円から93億円と約2倍に引き上げたとのこと。

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詳しくは【東京ガス(9531)が旧式の風呂がまなどを100億円かけて下取り】でも解説しているが、家庭内のインフラでは元々照明機器などの家電は電気、風呂や台所などはガス、といった形で、電気とガスを併用するのが当たり前のスタイルだった。

それを根底からくつがえしたのが電力会社による「オール電化(住宅)」。給湯なども含めたすべての家庭内熱源を電気で創り上げるというもので、IH(電磁誘導加熱)機器の技術進歩などが後押している。そして次のようなメリットがあると電力会社はアピールしている。

・都市ガスの普及が遅れている地域で便利。
・火を使わないので火事の心配が少ない。
・清潔感や環境に優しいというイメージ。
・光熱費周りを電気に集中でき、夜間電力料金も併用できるので割安になる。


オール電化イメージさらに最近、複数の会社でガス給湯器などの不具合が見つかり、大手会社の対応が後手後手・不誠実だったことも明らかになると、「ガスって危ないのでは?」というイメージが消費者に広まったのも、オール電化が広まった要因のひとつであることは否めない。

また、「オール電化住宅」化した場合、数十年に渡ってその住宅における電気の消費量は一般住宅より大きなものとなり、それぞれの会社にとって「上得意様」になるのだから、電力会社が必至になるのは当然。そしてその分顧客を奪われる計算になるガス会社も頭を抱えるのはごく当たり前の話となる。

元記事では具体的に、ここ数年で新築住宅におけるオール電化住宅比率が毎年10%超えを達成している(【東京電力(9501)】管轄内)話や、都市ガスの普及が今ひとつの中国・四国ではシェアが過半数を占めているなどの話が掲載されている。具体的な契約口数も記載されているが、全国で206万1063件、2006年度だけでも48万9815件もの「オール電化」住宅が増えたという。つまりそれだけ、ガスの需要量が減ったことでもある。

当方(不破)も本業で外回りをしていると、新築住宅が建設中のようすをよく目にするが、その多くで現場を取り囲むカバーに「オール電化住宅」という文字が躍っているのが見受けられる。

「新築するのだからこのさいオール電化にしちゃおうか」という家族が多いのか、あるいは建設業者と電力会社が一帯になって「オール電化住宅」をセールスしているのかは不明だが、確かに住宅を売る際に「今流行のオール電化住宅ですよ」とお客にアピールできれば、大きなセールスポイントにはなる。電力会社・建設業者双方にメリットがあるのは間違いない。

新築住宅・不動産ブームにのる形で、今後ますます「オール電化住宅」は普及スピードを高めていく。ガス会社側は現状を打開するためには、ガスならではのメリットを追求し、それを積極的にアピールする必要があるのだろう。

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