米マイクロソフトがヤフーに買収攻勢、海外メディア報じる
2007年05月05日 12:00
欧米メディアは5月4日一斉に、アメリカのマイクロソフトがヤフーに対し、合併やインターネット事業の統合を目指した提携交渉のアプローチをかけていることを報じた。IT企業の最大手とネット検索会社のトップを争う企業の合併や提携の可能性という話もあり、経済界やIT業界で大きな話題となっている。
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【Wall Street Journal】などの報道によると、マイクロソフト側が提案した案件は複数に及び、単なる合併や、マイクロソフトがインターネット事業を分離した上でヤフーに統合、その上でヤフーに出資する案などが浮上している。なお今件に関し、マイクロソフト・ヤフー双方とも公式にリリースを出すなどの見解は発表していない。
Wall Street Journalと共に今回の「マイクロソフトがヤフー買収!?」の一報を伝えた【New York Post】によると、これまでにもマイクロソフトは非公式に数年間にわたって折衝を続けており、最新のアプローチではマイクロソフト側がヤフーに対し500億ドル(6兆円)の提示を行ったとしている。さらにその記事では、検索エンジンやIT事業ではライバルとなりつつあるグーグルが、最近ネット広告ダブルクリック社を買収したりAOLと提携するなど攻勢を強めており、マイクロソフト側も強気に出ざるを得ないと分析している。
また金銭面ではゴールドマン・サックスグループがマイクロソフトをバックアップしている、仮にヤフーとマイクロソフトが合併(事業提携など)で手を組んでもシェアは30%程度でしかなく、アメリカの検索広告市場において65%のシェアを確保しトップを行くグーグルに対抗しえるとは言い切れない(ちなみに日本ではヤフーが上位)。さらに世界規模で考えれば、グーグルが66%なのに対しマイクロソフト+ヤフーでも27%に過ぎないと推定している。
報道前後の
米ヤフーの株価チャート
他方、【Canada.com】などが報じているように一部では「合併ともなれば1+1が2ではなく1.5ぐらいになってしまう」「ヤフーの従業員の最大5割がリストラされるかも」などと分析していることや、元々ヤフー上層部がはマイクロソフトにあまりよい感情を抱いていないことなどから、もしこの交渉話が事実だとしても、結局何も両社間で取り決めが交わされない(俗に言う「ご破算」)の可能性も高い。
海外同様日本でも検索エンジンやその関連ビジネスシェアにおいて、ヤフー・グーグルの二強状態は鉄板状態で、かつヤフーがグーグルに差を広げられつつある(日本では差が縮まりつつある)。状況がもう少し変わってくればあるいはヤフー側の態度も軟化する可能性が出てくるが、経営状態やシェアの状況以上に大きく会社の方針を左右する「上層部のポリシーや考え方」が変わらない限り、今件は流れてしまう可能性が高いだろう。あるいは小さな部門同士の提携などで、試験的な「握手」が行われるかもしれないが。
なお今回の報道を受けて【米ヤフー】の株価は急騰。前日28ドル前後で推移していたものがいきなり33.28ドルで初値をつけ、以後過熱感などからか売りが優位にたって値を下げたものの、終値では30.98ドルと前日比10%近い上昇を見せている。
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