ピーナッツは61%も! 今後50年間で大量の作物野生種が絶滅の恐れ~温暖化の影響で

2007年05月25日 06:30

シードバンクイメージ国連機関などで構成されている【国際農業研究協議グループ(Consultative Group on International Agricultural Research(CGIAR)】は5月21日イタリアのローマで声明を発表し、この中で地球温暖化により今後半世紀の間に大量の食用作物、たとえばじゃがいもやピーナッツなどの野生種が絶滅する可能性を示唆した(【発表リリース】)。

スポンサードリンク

リリースによると今後50年間のうちに、51種類の野生種ピーナッツのうち最大で61%、108種類の野生種じゃがいものうち12%が地球の温暖化で絶滅し、残りも大部分がその生息エリアを大幅に減らすという予想が得られたという。さらにアフリカで多く栽培されている、栄養価の高い豆科植物は48種類のうち絶滅は2種類に留まるものの、収穫量は大幅に減ると予想している。

野生種イメージピーナッツやじゃがいも、豆科植物に限らず、それらと類したすべての食用作物の野生種について、リリースでは「気候変動をもっとも少なく見積もっても相当な影響を受ける」と断じると共に、「早急に野生種の実物やタネ、その他データを収集して保全する必要がある」と訴えかけている。

詳しくはリリースでも説明されているが、食用作物の野生種はそれ自身が食用に適しているものは少ないものの、品種改良には必要不可欠の存在となっている。現在食用として栽培されている作物は遺伝子情報的に軟弱なものが多い。野生種の遺伝子情報が持つ強さ(環境に対する強さ、病原菌に対する強さ、害虫に対する強さ……)が品種改良の際に求められているからだ。

また同じ22日にはgenebanks(ジェネバンク)と命名されている、野生植物の遺伝子・種子保存センター(シードバンク、とも呼ばれている)の資金が不足していることが報じられている【(SciDev.netより)】

先に日本国内でも今年は猛暑になることや、ここ数年オーストラリアが国家レベルでの大規模な干ばつに見舞われていることはすでにお伝えしたとおり。このまま何の対策も採られないと、地球温暖化の影響は「野生植物・野生種食用作物の喪失と、それに伴う現行の食品などの品質の行き詰まり」にも及びそうである。


■関連記事:
【オーストラリアでの干ばつ続く、食用油も値上げか】

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

スポンサードリンク



 


 
(C)JGNN||このサイトについて|サイトマップ|お問い合わせ