トムソン、ロイター買収について具体的方向へ・買収額は2兆1000億円、グループ会社「トムソン・ロイター」設立

2007年05月09日 06:30

株式イメージ先に【トムソン、ロイターに買収打診を正式発表】でお伝えした、カナダの【トムソン(Thomson)】がイギリスの【ロイター(Reuters)】へ買収協議を行っていた件で両社は5月8日、正式に「トムソンがロイターを88億ポンド(176億ドル)で買収」「世界最大規模となる情報・金融データ会社を創設する。統合後のグループ名としてトムソン・ロイターなる会社を設立予定」とする内容の協議を行っていることを明らかにした(【発表リリース】【ロイター自身による報道】)。

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今件については昨日、トムソン側から「ロイターに対して買収予備交渉をしている」という正式な発表があったが、具体的内容については明らかにされていなかった。今回その条件が双方から発表されたことや、ロイターが黄金株(1株で議決権の過半数を握る)の発動に言及していないことから、ロイター側も今条件に賛同する方向で話が進んでいるようだ。

具体的な買収条件だが、ロイター側は1株あたり352.5ペンス(3.525ポンド)の現金とトムソンの株式0.1600株を受け取るという、現金での買い取り+株式交換の双方で行われる。5月3日付けの株価で概算すると、これは総計で697ペンス(6.97ポンド)に該当し、ロイター株式の株価に43%のプレミアがついたことになる。またロイター自身は買収総額を約88億ポンド(176億ドル)と表記しているが、これは日本円で約2兆1000億円に相当する。

買収後の統合グループ名は「トムソン・ロイター(Thomson-Reuters)」。そして要となるトムソンの金融部門とロイターの金融・メディア事業の統合後の名称はブランド力を最大限に発揮するためか「ロイター」を踏襲する。

合併後の株主構成は、トムソンの創業者一族の持ち株会社ウッドブリッジ(Woodbridge)は53%ほど、他のトムソンの株主が23%、ロイターの株主が24%となる。このうちウッドブリッジはすでに賛成を表明しているが、もちろん他の株主の賛同も必要。

人事面だがトムソン側のCEOもあるリチャード・ハリントン社長(Richard J. Harrington)は経営統合が済めばその時点で引退し、ロイター側のCEOであるトム・グローサーCEO(Tom Glocer)が統合会社の社長に就任する。また、ロイターの報道の独立性確保を目的とした「信頼の原則」(the Reuters Trust Principles)を統合後のグループでも採用し、引き続き買収防衛策の要となる黄金株を所有し続ける。

リリースでも「今回の発表がまったくのご破算になる可能性も否定できない」としているものの、今のところ反対表明が両社勢力から見られないことから、交渉は比較的スムースに進んでいると思われる。

ゴールデンウィーク中に世界を騒がせた、巨大メディア関係の買収騒動のうち、ロイターとトムソンについてはどうやら成功裏に終わる方向で話が進むようだ。他の二つ(マイクロソフトとヤフー、ニューズとダウ)の方はどうだろうか。引き続き市場や業界関係者の注目が集まるところではある。


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