インサイダー取引の審査対象、2006年度は247件
2007年05月22日 08:00
【日経新聞】が報じたところによると、【東京証券取引所】が2006年度にインサイダー取引の疑いがあると見て審査した件数は247件に登ることが明らかになった。これは2005年度の190件と比べて30%の増加になる。
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東証のインサイダー取引に関する審査結果などの統計データは【売買審査状況】に掲載されているが、現時点では最終更新日が4月20日、掲載データは2005年度までのものとなっている。日経の報による2006年度分は今月末までに発表されるもよう。
元記事によると2006年においては、業績の修正などの重要事実を発表する前に、疑わしい株式取引が目に付くという。具体的には「失望感から株価下落が予想される下方修正の発表前に大きな売りによる株価下落」「期待感から株価上昇が予想される上方修正の発表前に大きな買いによる株価上昇」ということになる。
説明ページにもあるように、東証では通報案件や自己監視による案件などから、問題のありそうなものをふるいにかける「調査レベル」、その調査の結果実際に問題がありそうだと判断されたものについて詳細な分析を行う「審査レベル」の二つに分類できる。また内容面では「インサイダー取引(内部者取引)」「相場操縦」「その他」に分類することができる。今回明らかにされた247件という数字は、実際に審査レベルにまで達した数。
なお昨年度比で3割り増しというと非常に多い気がするが、
2003年……調査:9934、審査:185
2004年……調査:12176、審査:257
2005年……調査:10113、審査:190
(2006年……調査:?、審査:247)
と、2004年度並であることが分かる。
今年2007年度についてだが、当方(不破)が感じた限りでは、5月の現時点においてですら、少なくとも「調査」対象とすべき案件は昨年以上に増えている感が否めない。これはただでさえ金融商品取引法の施行をひかえた駆け込み的な企業側のアクションに加え、三角合併解禁などによる外資系ファンドの活動の活性化、業界再編成に伴う企業買収の動きの増加、さらに新興市場の低迷による下方修正の発表件数が増えたことなどが要因として挙げられる。
予知能力者か稀代の幸運を持たない限り、このタイミングで大量の売買によってこのような値動きをするわけがないだろう、といった形のチャート形成が、今年に入ってから何度と無く見受けられる。特に新興企業においてその傾向が強く、恐らくはこのうち数割は実際に東証の調査・審査対象にもなるのだろう。
インサイダー取引や相場操縦などの不正取引が増えるほど、市場そのものへの信頼感が損なわれ、市場低迷の一因となる。正確な数については東証の発表を待たねばならないが、数の増減がどのような形になるにせよ、東証や証券取引等監視委員会には一層の努力と決断を期待したいところだ。
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