「Wiiはどこに売っているの?」アクセス解析で見る、検索サイトの使われ方と臨機応変な対処法

2007年04月22日 19:30

先に【検索サイトを使いこなすワザ五か条】で少々触れたが、インターネット上の様々な「文献」を探し出す手段として今一番使われている「検索サイト(ポータルサイト)」は、非常に興味深い性質を持っている。検索サイトの入力窓から入力されるキーワードは、単なる名詞であるばかりでなく、入力者の個性や欲求、事情などを映し出す鏡ともいえる。それを実感させられるデータを先日みつけたので、ここに分析も兼ねて書き連ねてみることにする。

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検索窓に直接質問「Wiiはどこに売っているの?」

先日【「つまんない」「暇」を検索入力・会員100万人は簡単――携帯ネットの意外な“常識”】という記事がIT mediaで掲載された。いわく「携帯電話のサイトでは『つまんない』『ヒマ』という感情語のキーワードがよく検索される。検索サイトを『答えを一発回答で出してくれる相談窓口』と考えているユーザーが多いのでは」との話。

「Wii どこで売っている」イメージそれに近い話が当サイト(Garbagenews.com)でもあった。4月17日のことだが、アクセス解析をしていると色々な検索キーワードで当サイトにやってきた読者の中に「Wii どこで売っている」という言葉で検索した人がいたのだ。大抵が単独名詞、あるいは名詞の羅列で検索する場合なだけに、非常に目立ち、目に留まってしまった。

果たしてこの検索で当サイトに来た人が望みの結果を得られたのかどうかは分からない。直接話ができるのなら「アマゾンや楽天で買える可能性はあるが前者はすぐに品切れとなるし後者はプレミア価格が付いている。もし近所にトイザらスがあれば、週末にはまとまった数が入荷する場合が多いので、そこが狙い目」と答えることもできるのだが、こればかりはどうしようもない(先日からQ&Aスクリプトが欲しい、とお伝えしているのもこれが一因)。

パソコン向けの検索サイトでは【検索サービスのgoo、自然文検索に対応】にもあるように、すでに【goo】が自然文検索に対応している。道に迷っておまわりさんに尋ねたり、コールセンターに問い合わせるように、ごく普通の質問口調で検索サイトに入力すると、それに対応する答えとなるようなページが表示される。

今後Wiiの普及や携帯電話の高性能化が進むにつれ、「検索サイトで物事を探す時には、キーワードとなる名詞を入れないとうまく検索できない」という暗黙の了解も分からず、単純に他人に問い合わせるように入力する人が増えてくるのだろう。例えば先の例なら「Wiiはどこで手に入るの?」と検索サイトの入力窓に入力して検索する、といった形だ。

そのような入力が増えてきたとき、各検索サイトは適切な「答え」を出してくれるだろうか。

アクセス解析で即時「検索サイトからやってきた読者」のニーズに応える

アクセスの様子
14時以降もじわじわと
アクセス数は増え、
17時を境に急増している。

検索サイト絡みで「そろそろ出してもいいかな」という話をもう一つ。「検索サイトは人の欲求をダイレクトに反映しうる」という点では上記の「直接質問」と似たような話になるのだが、昨年12月にちょっとした異変が当サイトにおきた。正確には12月12日。14時以降、通常なら見られないようなアクセス数の暫増がおきていた。普通は夕方あたりまではじわじわと減り、19時以降少しずつ増えるという形なのに、アクセス数が減る気配が無い。

それどころか17時を境にグン、とアクセスが急増している。このようなパターンが見られる場合、どこか巨大サイトからリンクが張られたことが想定されるのだが、それも無い。

自宅に戻ってアクセス解析をしてみたらこの有様だから驚かないはずもない。テレビニュースを見てみると、目に留まったのは【スクウェア・エニックス(9684)】が『ドラクエIX』をプレイステーション2(3)にではなく[任天堂(7974)]のDSに移植することを正式に発表したという話。もしかして、と思い、アクセス解析上の検索キーワードをチェックしてみた。

2006年12月12日のアクセス解析から、検索サイト経由で当サイトに来た人がどのようなキーワードを用いていたかの一覧。上位2つは4ケタ台に達していた。『ドラクエ』恐るべし。
2006年12月12日のアクセス解析から、検索サイト経由で当サイトに来た人がどのようなキーワードを用いていたかの一覧。上位2つは4ケタ台に達していた。『ドラクエ』恐るべし。

当たりも当たり、大当たり。今はもう見る影もないが、当時は「ドラゴンクエスト9」やその類似キーワードで検索サイトを検索すると、【Wii向け発表の『ドラゴンクエストソード』は事実上の『9』か否か】がトップ、あるいはそれに近い位置にあったのだ。発表された当日に、最新の記事が検索サイトに反映されるはずもないのに、テレビやチャットで耳にしたり一報を聞くと、まずは検索サイトで詳細を、とばかりに調べてしまう行動パターンがありありと見て取れた。ちなみに17時以降にグンと伸びたのは、夕方のテレビニュースで相次いで報じられたかららしい。

しかし上記記事にはあくまでも「Wii用の『ドラゴンクエストソード』が『9』なのかどうか」ということについて考察した記事であって、「『ドラクエ9』がDSで出ることが決定した」話とはほとんど関係がない。「ドラクエ9」がDSに移植決定となった話の詳細を知りたい人が大勢そのページにやってきているのに、肩透かしをくらっているのがありありと見て取れた。これは読者一人一人の立場になって考えれば、少々面白くない傾向といえる。

そこで【年の瀬恒例!? 年間注目記事とキーワードランキング発表・トップを飾ったのは今年業界を騒がせた「アレ」と「あれ」】でも触れたように、スクウェア・エニックスの公式サイトから発表リリースを探してきて速報の形で記事にし(【『ドラクエ』シリーズ本編新作はDSで。タイトルは『ドラゴンクエストIX 星空の守り人』】)、「ドラゴンクエスト9」などのキーワードでやってくる人が多数いるであろうページの下部に「関連記事」として、このページへのリンクを拡大文字表示で、当日の日付をつけて掲載し、誘導することにした。

下二つのリンクは元々張ってあったもの。上の「『ドラクエ』シリーズ本編新作はDSで。タイトルは『ドラゴンクエストIX 星空の守り人』」をアクセス急増後に追加で張り付けた。
下二つのリンクは元々張ってあったもの。上の「『ドラクエ』シリーズ本編新作はDSで。タイトルは『ドラゴンクエストIX 星空の守り人』」をアクセス急増後に追加で張り付けた。

おかげさまで(!?)読者のニーズにもある程度応えることができたらしい。処理が済んだ18時以降は(ページビュー数)÷(ユニーク数)、すなわち「一人当たりの平均ページビュー数」も通常よりも増え、少なからぬ人が「Wii向け発表の『ドラゴンクエストソード』は事実上の『9』か否か」から「『ドラクエ』シリーズ本編新作はDSで。タイトルは『ドラゴンクエストIX 星空の守り人』」に飛んでくれたようだ。


「ドラクエ9」のように突発的に急増したニーズに応える形でサイトのリンクを追加する、という手立てはなかなか採ることはできない。24時間サイトに張り付いて解析しているわけではないから、気が付いたらすでに波が去っていた場合がほとんどというのが実情。

それでも可能な限りニーズに応え、有機的にサイトのリンクを変更したり追加することで、少しでも多くの人が「求めている答え」を導けるようなページに誘導できれば、と考えている。それで利用者が満足した答えを得られれば幸いであるし、当方としてもサイト運営の冥利に尽きるからだ。


(最終更新:2013/08/21)

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