「口コミはテレビやラジオよりも大きな影響力を持つ」商品購入の際の情報源アンケート結果から
2007年04月24日 19:35
【マイボイスコム】が4月23日までに発表したところによると、商品購入の際にもっとも参考にされている情報源は「口コミサイト」で過半数の52.4%の人が利用していることが分かった。購買意思決定にテレビ・ラジオCMや番組よりも大きな影響力を口コミ(サイト)が有していることを表しており、色々な意味で興味深い結果となっている(【発表ページ】)。
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このアンケートは4月1日から5日までの間にネット上のアンケートで集計したもので、回答者数は1万7647人。男女比は男性対女性が46対54で、30代がもっとも多く39%、20代から40代で84%を占めている。
●商品購入時に参考にする情報源はテレビやラジオより「口コミサイト」
商品を購入する際に参考にする情報源を複数回答方式で答えてもらったところ、「テレビ・ラジオのCM」や「テレビ・ラジオ番組」を差し置いて「口コミサイト」がトップに躍り出た。過半数を超したのも「口コミサイト」だけ。
商品購入時の参考情報源
ただし、購入時の参考情報源は複数の場合が多く、「テレビなどのCMを見て口コミサイトで確認」「テレビ番組で興味を持って口コミサイトでチェック」という状況も容易に想定できる。この場合、「テレビ・ラジオのCM」「テレビ・ラジオ番組」はそれぞれ票が分かれるが、「口コミサイト」はおのおのの票が入るので得票が増えた、という見方もできるだろう。しかし「約5%ならば誤差の範囲」といううがった見方を差し置いても、テレビやラジオより影響力がある、という答えが出たこと自体驚きといえる。
●口コミサイトは「商品情報サイト」「ECサイト」など専用ページのものが影響力大
利用したことがある口コミサイトのジャンルを尋ねたところ(複数回答)、「商品情報サイト」が過半数超えの62.0%を獲得した。
利用したことがある口コミサイトのジャンル
続く「ECサイトの口コミレビュー」ともあわせ、商品購入に直結する専用サイトの口コミ情報が重要視されていることをうかがわせる結果となっている。
掲示板(2ちゃんねる)やブログ、Q&AコミュニティなどのCGM、SNSなども選択肢に上がっているが、2割前後とまだまだ少ない。特にSNSは専門分野におけるフォーラムなどが充実していて、一見掲示板などよりも信頼性が高いように見えるが、口コミ情報に限ってはまだ確固とした地位を勝ち得ていないようだ。
また、ブログの得票率が19.5%でしかなく、専用サイトの口コミレビューの三分の一程度の影響力しか持たないという結果は、「ブログを口コミツールとして活用する」ことを事業としている一部業者にとっては、色々複雑な思いをさせられる内容だろう。
●口コミサイトを参考にした人が実店舗で買うのは37.4%、関連サイトで買うのは58.2%
口コミサイトを参考にした人が実際にどこで商品を買ったのかも気になるところ。もっとも多い方法についてたずねたところ、次のような結果が出ている。
口コミサイトを参考に購入した商品の購入方法
口コミサイトから
直接・リンク経由で
商品を購入している
少々見方が分かりにくいが、「口コミサイトから直接商品を買った」「そのサイトからリンクした他ページ、他サイトで買った」など、何らかの形で口コミサイトの情報をきっかけにサイト上で購入した人は58.2%に及んでいる。口コミサイトの収入源の一つもいえる代理店報酬が発生しうる「そのサイトで購入」「リンクから他のページで」は28.2%で、3割近くを占めている。
その一方、何らかの形で口コミサイトの情報を元に、実店舗で商品を購入した人も37.4%と4割近くにのぼり、口コミサイトの影響力が実店舗での購買意欲にも大きく作用していることが分かる。
今回の調査結果から口コミサイト、特に購入窓口に直結している、購入者のナマの声が聞けるようなECサイト・情報サイトの多くの人に求められ、購入の際の参考となっていることが明らかになった。何らかの形で通販サイトを構築している企業は、購入者の意見をダイレクトに反映し、第三者もその内容が分かるような仕組み(CGM的なもの)を取り込むことで、サイトの信頼性と購入率を高める可能性があることを再認識すべきといえよう。
その一方、最近は「バイラルマーケティング」こと口コミ戦略が消費活動を活性化させるのに有効であると認識されはじめたことから、広告代理店やIT企業がこぞって「口コミマーケティング」に参入している傾向が見受けられる。ブログを書く人を集約して太鼓持ち的記事を仕事として発注して書かせたり、専用のリリースを配布して先着順でポジティブな感想に報酬を提供するのはまだ良いほう(?)で、中には会社や商品のイメージを良くするような市場操作まがいのことを、匿名で掲示板などに流布したり誘導することを生業とする企業も「あると聞く」。
口コミはナマの声だからこそ信頼が置けるわけであって、だからこそ参考にする人が多い。その「ナマの声」が実は商品提供元や企業や代理店からコントロールされたものだとしたら、消費者達はどう思い、判断するだろうか。
元々口コミは非常に有効な手段であると同時に、使い方を誤ると「炎上騒ぎ」をはじめとするマイナス効果も発揮する可能性がある。妙な小細工をしてしっぺ返しを食らうリスクを負うよりは、良い意味での口コミが広まるようなサービスや商品を創り上げ、そして「口コミが自然に広がるような地盤や仕組みを作って浸透するのをひたすら待つ」のが、長い目で見れば成功する秘訣なのではないだろうか。
(最終更新:2013/08/21)
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