「ファーザーズ」市場新設!? 日証協が上場廃止株の市場創設へ・毎日新聞報じる
2007年04月15日 11:30
【毎日新聞】が報じたところによると【日本証券業協会】は4月14日、【東京証券取引所】や【ジャスダック】で上場廃止になった株式を売買する市場を創設する方針を明らかにした。カネボウやライブドアなどの上場廃止の際、多数の個人投資家が市場での売買取引が出来なくなったことに批判が集まり、投資家保護のための受け皿として作られるとのこと。なお現在日証協のサイトでは今事実について確認は取れていない。
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元記事によると通常何らかの理由で上場廃止が決まった銘柄は(よほどのことがない限り)注意勧告のための整理ポストに移行し、一か月の売買期間を経て上場廃止になる。しかしこの間は売りが増えて買い手が少なくなり、売るタイミングを逃す株主も多い(ゲームのようにコンピュータや会社自社が買い取るのではなく、買い手も投資家なのだから当然といえば当然)。
上場廃止後も株券そのものの効力がなくなるわけではなく売買は可能だが、証券会社などの仲介を頼るか自分で取引相手を探ねばならないため、事実上不可能に近い。ライブドアでは22万人ほどの「市場で取引が出来なくなった個人投資家」が誕生し、大きな不満の元となった。
元記事ではこのような不満を解消するため、かつて2004年12月までジャスダックで実施していた「店頭市場」の仕組みや、非上場企業の株式を売買する「グリーンシート」制度を参考にしながら、日証協が運営する「上場廃止後の株式の売買市場」(マーケットメイク方式採用の予定)を創設する予定だという。法改正は必要ないとのことだが、情報開示や価格設定、「上場廃止の企業のうちどの企業をこの市場で取り扱うのか」という企業選択に焦点が集まりそうとのこと。
かつて倒産、あるいは上場廃止となった株式の一部は、インターネット上のオークションサイトなどで売買されていた。新興市場の「マザーズ」と、倒産銘柄も多く存在することから「倒産→とうさん→父さん→ファーザー(ズ)」というアナグラム的な発想から「ファーザーズ市場」と一部では呼ばれていた。
しかし倒産銘柄はともかく非上場のみの銘柄(ライブドアやカネボウなど)の株券もオークションに登場するようになり、「有価証券をオークションで売買するのは問題がある」として、ネット上での株券は原則的に売買禁止となってしまった。かつては「南満州鉄道の株券」など、歴史的価値のあるものも売買されていただけに、非常に惜しい話ではある。
今回の日証協の発案はまさにこの「ファーザーズ」の拡張公式版に相当するものになるのだろう。しかし投資家保護という観念は理解できるものの、公式版「ファーザーズ」を作ってしまうと各既存市場の「上場廃止」の(ペナルティとしての)意味がなくなってしまい、モラルハザードを助長することになるのではないだろうか。
ただでさえ新興市場銘柄には個人投資家を中心にさい疑の目が増している昨今、「上場廃止」という「たが」が無くなってしまうと、さらに新興市場離れが加速するのではないかという懸念すら生じてくる。続報に注目したいところだ。
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