健康食品市場は縮小の方向、ネット通販が躍進するも競争激化

2007年04月11日 06:30

お薬イメージ【矢野経済研究所】は4月10日、健康食品市場の最新動向を調査した研究レポートを発表した(【発表リリース】)。それによると2005年度から健康食品市場は成長率が鈍化し、2006年度は行政の監視が強化されたり大ヒット商品が無かったことで前年度比でマイナスに転じたと予想している。

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今調査は2006年10月から2007年2月にかけて行われたもので、それによると2005年度における健康食品市場の規模は7039億円となり7000億円を突破。しかし大ヒット商品が出てこなかったり行政監視が強化された影響で2006年度はマイナスに転じ、6824億円前後になったと予想している。これは2年前の2004年度における6848.5億円すら下回る数字。

この減少要因についてリリースでは、「コエンザイムQ10などのような大ヒット商品が生まれなかったこと」「アガリクス商法の摘発などで『健康食品って大丈夫?』とのイメージが消費者に広まり、主力商品のアガリクスや大豆イソフラボンなども苦戦を強いられたこと」などが原因ではないかと分析している。

流通ルート別では訪問販売が前年度とほぼ同じ2836億円。その一方、通信販売は2005年度が前年度比で8.2%プラスの1980億円となり、成長率そのものは鈍化したが他の販売スタイル(訪問販売や店頭販売)と比べて高い伸びを示している。しかしこの分野でも競争が激化し、企業によってセールスが伸びているところとそうでないところの差が激しくなっているという。さらに2006年度においては各スタイル共に減少しているものと推定している。

具体的な商品に目をやると、不祥事やテレビ番組の問題をきっかけに大豆イソフラボンやコエンザイムQ10に対する消費が落ち込んでおり、市場全体にも大きな影を落としている。その一方、美容やアンチエイジング(老齢化防止)素材、関節炎の対策になるとされるグルコサミンなど中高年齢層のニーズに応えた商品、さらにはブルーベリーなどアイケア素材が堅調だとしている。特にグルコサミンは2004年度は前年度比25%増し、2005年度は前年度比15%増しと上昇率そのものは落ち込んでいるが、他の種類と比べて高い伸びをしめしている。

レポートでは食品業界全体が頭打ちの状態にあるとした上で、健康志向の高まりを受けて高成長を続けてきた健康食品市場にも変革の波が押し寄せているとまとめている。そして「治療」から「予防」への流れの変化で中長期的には市場全体は拡大するものの、淘汰も続くだろうと結んでいる。

今年は特に「あるある」問題で健康食品市場を牽引するメディアでの展開が難しくなったため、今後しばらくは成長の鈍化が予想される。実際には自分の身体にマッチした物を選べばよいだけの話だが、世間一般のお話に耳を傾け、試してみたくなるのも人間の「さが」というもの。リリースの分析にもあるように、中長期的には「あるある」効果も薄まり、またテレビや雑誌での推奨が健康食品への注目をかきたて、市場を盛り上げるけん引役となるのだろう。

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