「物価・景気は一年前と変わらない」「今後はちょっぴり良くなるかも?」日銀調査結果
2007年04月05日 06:30
【日本銀行】は4月3日、3か月ごとに実施している「生活意識に関するアンケート調査」結果を発表した(【発表リリース、PDF】)。それによると、民間における景気や物価への意識について、「やや悪いが去年とほぼ同じ、来年はちょっと良くなるかも」という傾向が見られることが明らかになった。
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今回の調査は全国20歳以上の人4000人を対象に2月14日から3月5日にかけて行われたもので、有効回答者数は1957人。郵送調査によって行われた。
●景気判断「今はちょっと悪いかな、でも今後はよくなるかも」
景気判断については、「一年前と比べると今はどうか」という問いには昨年3月の回答とほぼ同じ結果が出ている。また「一年後はどうなるか」という問いでは12.3%が「よくなる」と答え、昨年の10.3%からわずかに増加、「悪くなる」が20.0%と昨年の21.7%から少々減少していることとあわせ、「今後は景気は良くなるかも」と考えている人が多いことが分かる。
景況感
ただし「現在の景気水準」については、「どちらかといえば悪い」「悪い」をあわせた割合45.9%と前回の45.1%からやや増加しており、一年前と比べると景気が多少ではあるが悪化したのではないかという可能性も見受けられる。
これは「現在の暮らし向きがどうか」という問いの答え、昨年では「ゆとりがなくなってきた」が44.6%だったのに対し今年は45.9%と1.3%増えていることからも明らかにされている。
●物価は安定傾向?
物価に対する実感としては「一年前と比べるとどうか」という問いに対し、52.6%と過半数の人が「ほとんど変わらない」と答え、「少し上がった」の35.0%を大きく上回った。前回調査ではそれぞれ45.5%・39.0%だったことから、物価の上昇が収まり、安定傾向にあると感じている人が増えていることがわかる。
物価について「現在を1年前と比べると?」「1年後を現在と比べると?」
また「一年後には物価はどうなるか」という問いには、「少し上がる」がいまだに過半数を占めているものの大幅に減る傾向にあり、昨年の問いと比べて「ほとんど変わらない」という人がその分増えていることが分かる。こちらからも「物価は安定しつつあるのかな」と思う人が増えていることがうかがえる。
●雇用や処遇に「不安」高まる
「景気はよくなるかも」「物価は安定へ」という将来に期待が持てそうな調査結果が出ているが、一方で雇用や処遇面での不安が増えているようすも明らかになっている。
勤労者(正社員以外にパートやアルバイトも含む)への「雇用や処遇への不安を感じるかどうか」という問いには、「かなり感じる」が大幅に増え、「少し感じる」層から移行したことがうかがえる。
「雇用や処遇への不安を感じるかどうか」
「あまり感じない」が年々少しずつながらも減少し、「かなり感じる」「少し感じる」が均衡しつつも「少し」が優勢という状況が続いていたが、今年に入り「少し感じる」が4.3%も減少し「かなり感じる」が5.9%も増加している。
雇用や処遇に不安を少しでも感じていた人の「不安感」が増加したことが推定されよう。
今回の発表資料には他にもいくつかの調査結果が報告されているが、とりあえず今回取りあげた三点をまとめると、「景気はよくなるかもしれないし物価も安定しているし、経済そのものは良い方向に向かっているかもしれない。けど、自分の足元では雇用不安が増加している」という様子が想像できる。
これを「世の中の景気がよくなるような雰囲気は、正社員とアルバイト・パートなどの雇用格差から来ている」ととるのか、「リストラによる経済の適正化が進んでいる」ととるのかは人それぞれだろう。
今後は雇用を安定化しながら経済・物価を良い方向に向かわせる政策に期待したいところだ。
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