日本の潜在GDPは2040年以降毎年減少も・みずほ総研試算

2007年04月30日 12:00

【みずほ総合研究所】は4月24日、GDPを中心にした日本の経済に関する長期見通しについてのレポート【我が国潜在GDPの長期推計(PDF)】を発表した。その中で、経済の実力を表す一指針であるGDPについて、2040年にも成長率がマイナスに転じるとの試算をしていることが明らかになった。

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GDPとは国内総生産(Gross Domestic Product)の略で、一定期間内に国内で産み出された付加価値の総額を指す。かつて経済指数としてよく使われていたGNP(国民総生産)が「海外に住んでいる日本国民」の生産量も含んでおり、正確な国内生産量の指針にはなりにくいとして、最近はGDPを使うのが一般的である。

レポートによると2007年現在における潜在GDPは549兆円あまり、潜在成長率は1.54%。今後は生産年齢人口の減少や労働力率の低下、労働時間の減少、設備投資の減速、資本減耗率の上昇など、労働と資本の両面から潜在成長率に対し強い低下圧力が加わるとしている。

特に潜在労働投入力は1989年をピークに減少。資本投入量も2035年を境に減少に転じると試算。このまま具体的な対策が講じられなければ、2040年の約737兆円をピークに、潜在GDPはマイナスに転じ、結果として以後の日本経済は潜在成長率が常にマイナスになることが見込まれるとしている。

同レポートでは「人口の減少を前提」と定義した上で、経済成長の衰えを防ぐために、

1.年金支給開始年齢の更なる引き上げ
2.女性の労働参加支援の更なる促進
3.外国資本の受け入れ促進
4.外国人労働者の受け入れ促進
5.イノベーションの促進


などが想定できるとしている。ただし1.や2.だけでは政策として十分ではなく、3.から5.までを促進することが必要としているが、これらについては不確実性が高く色々な問題が新たに発生しうるとしている。

また、今後おきうる状況として、

・企業や政府の投資行動が分野、地理の面で集約されるので地域格差は広まる
・金融政策自体がデフレ圧力になる可能性がある
・金利は安定する方向に移行する


などを推定している。さらに現在の株価については「長期的な我が国の成長力が妥当に反映されていると考えることが出来る」として、現行株価が妥当な水準にあると述べている。

人口政策が採られなければ人口が漸減するのは日の目を見るより明らか。「成長しなくてもいいではないか」とどこぞのボンクラ(失礼)経済学者が主張しそうだが、成長を前提に物事を考えなければ、個体としても集合体としても「生命力」を失ったも同然である。

財務的に見ても成長を続け余力を手に入れることができれば、その分をより豊かな生活やさまざまな政策・経済活動に投資できるため、自分達自身はもちろん周囲にも「幸せ」を分け与えることもできるだろう(幸いにもどこぞの国のように、他国から受けた援助を使って武器弾薬を購入して中小国に分け与え、紛争の火種を増やすことなど、日本はできないことになっている)。

日本は元々国土が小さく、資源も頼りない国であることに違いない。一人一人の能力を活性化するような施策を取り入れ、5.の「イノベーションの促進」を推し進め、それこそ「一億総知識人」のような政策転換が必要になるだろう。

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