次期主力戦闘機はF22とF15FXの二段構え? 報道各紙報じる

2007年04月22日 19:30

F15Eイメージ先に【「F22(の情報)がどうしても欲しい」防衛相、アメリカ訪問時に国防長官へ直訴】でも報じたように、航空自衛隊が装備予定の次期主力戦闘機(FX)の選定作業において久間章生防衛相が4月末に訪米した際にアメリカのゲーツ国防長官に対し、アメリカの最新鋭主力戦闘機であるF22ラプター(Raptor)のデータを開示するよう求めていることが明らかになったばかりだが、今度は「複数の日米関係筋」が語ったという前書きで「航空自衛隊はF22ラプターとF15FXの2機種にしぼって調達を想定している」と報じられた。複数の報道機関が一斉に報じているが、いずれも[このリンク先のページ(tokyo-np.co.jpなど)は掲載が終了しています]。

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元記事によれば空自の次期主力戦闘機には「ステルス性」「日米共同作戦上の利点」などからF22ラプターが最有力候補に備えた「と報じている」(※確定情報ソースは無い)。その上で、F22が現状ではアメリカ議会が海外への輸出を禁じていることや1機250億円(アメリカ空軍価格では150億円前後)と高値であることなどから、すべてをF22で揃えるのは事実上不可能と判断。

そのため、現在の主力戦闘機であるF15Jの改良型で1機100億円程度と調達費用が安く、現状のF15Jとの整備・運用上のノウハウもそのまま活用できるF15FXを先行導入し、F22ラプターは解禁を待った上で導入。その上で「F15FXとF22ラプターの組み合わせで『質と量』を兼ねる」という案が浮上しているという。ちなみに空自幹部の談として「F22はF15を同時に5機、相手にできる」という話も紹介されていた。

「F22で全力装備できればいいけど、アメリカ議会が許してくれないし高いし。じゃあはじめのうちは既存の戦闘機のF15Jと共通性の高いF15FXで我慢して、OKが出たらF22も揃えちゃおう」という考えは理解できる。しかしF22の後にはF35というさらに高性能な機種が待っている。こちらはアメリカだけでなく開発協力をした他国(イギリスなど)でも装備が進められている。本格的な実戦配備はまだ先だが、どの道新鋭機を装備するのならF22よりもF35の方が良いような気もする。

第一、サイフの中身も寂しく装備機数もそれほど多くは揃えられないであろう次期主力戦闘機を、さらに2機種に分けて装備するとなれば、ますます単種類ごとの機数が減り「数のメリット」を得られなくなるのは必至。防空任務が主任務である航空自衛隊の特性を考えるとある程度の数は必要不可欠だから、同じ予算で数が揃えにくいF22のみというははなから無理がある。そうなると、「F15FXを事実上の次期主力戦闘機に据えてF22ラプターは特殊戦闘機か何かに位置づけ、今のうちからF35にツバをつけておく」というやり方がムダ使いを抑えることができるのではないだろうか。

……それとも、F35がまとまった数だけ揃う前に、F15FXやF22ラプターが活躍「するような事態」が発生しうるという想定でもあるのだろうか。

ちなみにF15FXについては相変わらず情報開示が極めて限定された状態に変わりは無く、F15Eストライクイーグルの高機動性バージョンになる「らしい」という話しか漏れ伝わってきていない。

また、日本でも独自のステルス戦闘機を「先進技術実証機(ATD-X)・心神」という名称をつけて開発中ではあるが、開発完了予定が2011年・初飛行は2014年前後とされており、到底次期主力戦闘機として間に合うものではない。


■関連記事:
空自次期主力戦闘機とF-2とF-22とF-35(2007/07/26)


(最終更新:2013/08/21)

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