三井物産(8031)・三井造船(7003)が固形天然ガス輸送事業をプロジェクト化、2012年にも実働へ
2007年04月21日 11:30
【三井物産(8031)】と【三井造船(7003)】は4月19日、天然ガスを固形化して運搬や貯蔵をしやすくした天然ガス・ハイドレート(NGH)について、これを輸送する事業を推進するための新会社「NGHジャパン株式会社」を設立し、事業をスタートしたと発表した(発表リリース)。出資比率は三井造船が80%、三井物産が20%。
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NGHとは「Natural Gas Hydrate」の略で、天然ガスが水の分子の中に取り込まれたシャーベット上の固形物質。見た目には氷のような形で、キャンプでよく用いられている固形燃料のように火がつくため、よく「燃える氷」と称される。安全性が高く、経済的で、環境にも優しい新たな天然ガスの輸送・貯蓄媒体として期待されている。
今回両社は、両社のNGHに関するノウハウ、つまり三井物産のNGHの製造・貯蓄・ガス化技術と、三井物産がLNG(液化天然ガス)で実績を誇っている天然ガスに関する企画事業力をあわせ、最大限の効果を発揮すべく新会社を立ち上げた。
この会社の事業が本格化することで、両社はNGHの技術事業開発が推し進められるだけでなく、これまで日本国内では困難とされてきた中小ガス田の開発が可能になり※、ガスの供給が難しい地域へもNGHの輸送により長期的に安価でガスの供給ができるようになるとしている。さらに環境面でも天然ガスの普及に貢献するとのこと。
そして将来的には「日本近海に埋蔵されるメタンハイドレードの抽出や輸送技術への転用」、二酸化炭素の回収などへの環境対策への転用も期待できる。
三井造船がノウハウを持つ天然ガスハイドレートについては【三井物産内の解説ページ】が詳しい。それによると今回のNGH技術の開発と事業化により、天然ガス全埋蔵量の40%ほどに相当する「これまで採算がとれないことから放置されていた中小のガス田」に開発の手が伸びる可能性があるという。
資源の有効活用や便宜性の向上、さらには日本近海での「日本保有のガス資源の活用」の点でも有効だと思われるNGHの技術の事業化に、期待しないわけにはいかないだろう。2012年実働化という話だが、その日を心待ちにしたいところだ。
※「日本国内では困難とされてきた中小ガス田の開発が可能」……LNGに寄ると運送コストの問題で大規模な埋蔵量がないと採算がとれず、採掘自身が行われなかった。しかしNGH方式を使えばコストが軽減できるため、これまで手がつけられなかった中小のガス田も採掘できるようになる。
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