70%の肥満率、体重は3キロ増・肥満をもたらす新たな遺伝子FTOを特定

2007年04月16日 06:30

肥満イメージ【BBC News】が伝えるところによると、イギリスのオックスフォード大学とペニンシュラ医療機関(The Peninsula Medical School)は、肥満と大きなかかわりを持つ遺伝子を新たに特定したという研究結果を発表した。この遺伝子を2組持つ人たちは、そうでない人と比べると肥満のリスクが70%も高く、平均体重が3キロも重たいことが明らかになった。

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肥満関連遺伝子FTOの
作用は否定できないが、
肥満になるかどうかは
本人の怠惰と食生活の問題
(Andrew Hattersley教授)

この研究はヨーロッパの白人を対象に4万人ほどのサンプルを元に調査されたもの。遺伝子パターンと体重の関係を調べ、その遺伝子の中で「FTO」と呼ばれるものが関連性が高いとの結論が出た。この「FTO」を一組持つと肥満率が30%、二組持つと70%も高かった。さらに二組持つタイプの人はまったく持たない人と比べて平均体重が3キロも重たかった。

なおヨーロッパの白人の間では六人に一人がこの「FTO」を二組持つのだという。ただしなぜ「FTO」が肥満と深い係わり合いがあるのか、その原因や仕組みは今のところ不明。

今回の研究結果についてペニンシュラ医療機関のAndrew Hattersley教授は今回の研究成果について「同じ食べ物を食べて同じ運動をしているのに片方だけがやせているという状況の一端が説明できた」とその成果に満足するのと共に

「しかしながら、もしあなたが肥満状態にあるのなら、それは(遺伝子のせいではなく)怠惰な生活と大食らいのせいであり、あなた自身の問題である。
(The typical message has been that if you are overweight it is due to sloth and gluttony and it is your fault.)」


と語っている。また、研究に参加した人の一人、(FTO遺伝を持たない)Sarah Collyer氏は「私はいつも冷蔵庫をチョコレートかケーキでいっぱいにしているんです。すると人々は、『どうしてそれらをみんな食べて、そんなにスリムなままでいられるの』と聞いてくるのですよ」と語っている。

FTOが栄養吸収・分解効率の違いに関係があるのかもしれない。要は食べたものの栄養を吸収・脂肪分への蓄積変換率にFTOが関わっているのだろう。仮にそうだとすれば、FTOは「食物から効果的にエネルギーを吸収して身体に取り込む働きを持つ」という考え方もできる。

「FTOを複数持っていれば非常に効率よく食べ物を身体に取り込める」とポジティブに考えれば「少量で身体の役に立つエネルギーを充足できる」といった考えも導き出せよう。……あとはいかに最大のハードルである「満腹感」を克服できるか、である(笑)。

ちなみに元記事のBBCのサイトでは「肥満は遺伝子のせい?」という問いでアンケートを行っている。記事執筆時には「そうだね」がわずかに7.44%、「違うよ」が76.76%、「よく分からない」が15.80%を占めていた(全部で7969票)。あくまでもFTOは要因の一つに過ぎないという考えは、世間一般でも認識されているようだ。

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