「日本人の死因トップはがん、中でも肺がんが多い」知らない人は6割

2007年04月21日 19:30

たばこイメージ医薬品メーカーのジョンソン・エンド・ジョンソンは3月5日、男女1000人からの肺がんに関する意識調査の結果を発表した。それによると日本人の死亡原因のトップががんであること、そしてその中でも肺がんがもっとも多いことを知らない人は60.1%に登ることが明らかになった(発表リリース)。

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この調査は2007年1月に日本全国の30代から60代の男女1000人を対象にネット上で実施したもので、肺がんや喫煙に関する問いを中心に行われている。

「日本人の死因トップはがん、中でも肺がんが一番多い」を知らない人は60.1%

日本人の死因第一位の病症は「がん」(悪性新生物)であり、中でも肺がんがもっとも多いことについて、全体の60.1%が知らなかったと答えた。「がん」が何となく危ない病気であることは知っていても、その中でも「肺がんがもっとも多いこと」を知らない人が過半数にも登っているのは驚くべきことである。

ちなみに厚生労働省のデータによると、人口10万人あたりの死因率はがんがもっとも多く250人を超え、脳血管疾患(脳卒中)は約100人強、心臓疾患は100人程度、肺炎は70人強と半数以下でしかない。部位を分けずにまとめて「がん」と集約していることを考慮しても、がんによるものが多いのがお分かりいただけよう。

たばこと肺がんの関係、気になるけれどヘビースモーカーは開き直り

肺がんともっとも関連性が強いと思われるたばこによる喫煙。たばこを吸っている人の9割以上が「喫煙していると肺がんになるかもな……」と考えていることが明らかになった。

「喫煙で思いつく病気は?」
「喫煙で思いつく病気は?」

第二位の気管支炎や第三位以降の動脈硬化、心臓病などが50%前後なのに対し、「肺がん」は2倍近い値を示している。喫煙している人が「肺がん」への心配をしていることはこの結果からも明らか。

しかも別の問いでは、喫煙者の半数近くの46.2%が肺がんを「怖い病気で、自分もいつか肺がんになるかもしれないと思っている」と答えている。並々ならぬ危機感を持ち合わせている、はずなのだが……

「一日の喫煙本数と肺がんへの認識」
「一日の喫煙本数と肺がんへの認識」

一日あたりの喫煙本数が増えていくにつれ、「自分も肺がんになるかも」という心配の割合が増えているにも関わらず、40%を超すと逆に減り、かえって「怖い病気だとは知っている。しかし自分が肺がんになるかどうかは分からない」と答える人が大幅に増加しているのが気になる。

これは「これだけ大量に吸っているのに肺がんにかかっていないのだから、自分はそういう体質なのだろう」と割り切っているのか、あるいは開き直っているのかもしれない。

さらに別の問いにもあるのだが、肺がんは基本的に検診によってのみ発見できる病気であり、自覚症状は出るものの、その時には手遅れになっている場合が多い病気でもある。そしてその「手遅れ」というのはもちろん「生存率が高くない病気」ということにもつながる。

「禁煙? 大きな病気にならないと止められないネ」が54.2%

ストレス解消などの効用もあるが、肺がんをはじめとして喫煙は決して身体によいことではない。喫煙者自身も「肺がん」についての事柄をはじめ、ある程度はそれを認識している。しかしその喫煙をなかなか止められない現状も認めざるを得ない。

喫煙者に「どうしたらたばこを止められるか」と問い合わせたところ、「大きな病気にかかったら」と答えた人が過半数の54.2%を占めている。

「どうしたらたばこを止められるか」
「どうしたらたばこを止められるか」
「大病したら禁煙する」54.2%
しかしその大病が
死に至る病である
可能性は高い

百歩譲ってぜんそくや気管支炎、潰瘍ならともかく、肺がんや動脈硬化、心筋梗塞、肺炎などは、手遅れになる可能性は低くない。つまり喫煙による「大きな病気にかかったら」は「冥界行きの急行列車の乗車券を手渡されたら」とイコールになることがしばしば、と表現してもよいだろう。つまり、「たばこを止めなければ」と決意した時にはもう遅い(場合が多い)わけだ。

家族や友人、医師に注意されたり、記念日などで決意したらという回答もいずれも1割にも満たないのも絶望的な気分にさせられる。さらに「何があっても止められない」が11.2%、「当てはまるものはない」が17.5%を占めているのを見ると、仮に後者が「通常想定できないような状況でないと止められない」という意味とすれば前者とあわせて3割近い人が「たばこは止められない」と答えたことになる。

まずは「知ること」が大切

リリースでは肺がんについて「年間5万人以上の死亡者数(※当方の手元の資料だと男女合わせて6万人強/年とある)で、近年肺がんの患者数は増加傾向にあるのに、死亡原因のトップであることを知らない、たばこは止められない、検診を知らず、受けていないという他人事の人があまりにも多い」と嘆きつつ、

「肺がんは、早期発見が難しい上に、“発見された時には進行していて手術の適応ができない”、“他の部位へ転移している”など治療が困難になるため、なおさら、早期発見が非常に重要な疾患です。
(中略)
(肺がんの検査方法や治療方法について)認知度はまだまだ低いのが現状で、早期発見、早期治療への壁が高いことがわかりました。
 「肺がんは進行してからでは手遅れ」という認識を強く持っていただき、禁煙などで予防を心がけていただくのはもちろんのこと、早期発見を促す検診や、患者さんにとって負担の少ない治療法をより多くの人に知っていただくことが大変重要であると考えています」


と述べている。

当方の闘病記を読んだ人ならお分かりいただいていると思うが、入院時に隣のベッドにいた患者は、酒とたばこの呑みすぎで肝臓をやられていた。そして酒はともかくたばこは隠しやすいので、何度も隠れて吸っているところを見つかり、最後にはベッドに拘束具で拘束されるありさまとなった。下手をするとボヤを起こされる可能性もあったのだから自業自得だが、ニコチンに取り付かれた人の執着心をあらためて思い知らされた。

喫煙者にしてみれば、たばこの魅力は何物にも代えがたいものがあるのは理解できる。それが病みつきなレベルの人も多いだろう。しかしたばこの販売メーカーの重役が逆説的に「たばこを止める人が増えると寿命が延びるでしょ!?」と発言していることからも分かるように、科学的見地から見ても喫煙が身体によくないことだけは間違いない。

いきなり「禁煙しなさい」といわれても承知する人は少ないだろう。第一その程度の言葉で止める人が多いのなら、ちまたにあふれる禁煙プログラムなど必要なくなってしまう。まずは喫煙と肺がんなどそれがもたらす数々の病気について、もう一度「知ってもらい」、その上で口元に寄せたたばこがどのような影響を自分に及ぼすか、考え直してほしい。


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