富士通フロンテック(6945)、薄さ12ミリのカラー電子ペーパーで携帯情報端末「FLEPia(フレッピア)」を開発

2007年04月23日 12:30

モバイルイメージ【富士通フロンテック(6945)】は4月20日、富士通研究所と共同で開発したカラーの電子ペーパーを採用した携帯情報端末「FLEPia(フレッピア)」を製品化し、20日からサンプル販売を開始したと発表した(【発表リリース】)。リリースによるとフレッピアは世界で初めてのカラー電子ペーパー搭載の携帯端末だという。

スポンサードリンク

さまざまな情報入力機能を備えたカラーの電子ペーパー情報端末

「電子ペーパー」とは薄いフィルムの間に挟んでいる液晶分子に電圧をかけ、文字や画像などのデジタルデータを表示させるもので、すでに電車の車内広告などへの利用が始まっている(参考:【日立製作所(6501)とJR東日本(9020)、山手線内でカラー電子ペーパーの実証実験を開始】)。今回富士通フロンテックは他社の製品同様にカラーの表示ができる電子ペーパーを用い、携帯情報端末にした。

「フレッピア」はA4タイプとA5タイプの2サイズが用意されているが両方とも厚みは12ミリ。重さもA4で480グラム、A5で320グラムと比較的軽め。一度の充電で連続使用が可能な時間も50時間と、長期の携帯利用に耐えられる。

フレッピアイメージこの「フレッピア」にはWindows CE5.0が搭載されているのでネットブラウザや電子メールなどの機能を用いることができ、他にマイクロソフトの各種ビジネスソフトの利用も可能なため、持ち出し用ビジネスツールとしての利用ができる。また、外部インターフェイスとして11/54MbpsのIEEE802.11b/gの高速無線LAN、USB 2.0(480Mbps)準拠のUSB mini-Bコネクタ、SDメモリーカードスロットを備えているため、さまざまな通信機能を用いたデータ配信方法を利用可能。

表示能力は768×1024ドット、書き換え速度は4096色で10秒。最大4GBまでのSDメモリを装着でき、4GBの場合1日10メガ分の新聞朝夕刊なら1年分・新刊書なら1冊300ページで5000冊分は納めることができるという。

モノクロはともかく、カラーの電子ペーパーを使った商用携帯端末はこれまで例がなく、非常に注目を集めているところだが、富士通フロンテックでは今商品についてまず企業向けに10台単位で販売するという。その後、2008年度から一般販売をはじめ、2010年度末までに累計売上100億円を目指すとのこと。

気になる価格は、A5サイズが税込で157.5万円(10台あたり)、A4サイズが同じく262.5万円(10台あたり)となる。単純に割り算をすればそれぞれ15万7500円・26万2500円となり、この価格が一般向けにもそのまま適用されれば、それなりに「買えないことはない」お値段の域にあるといえるだろう。

個人ベースでの「電子ペーパー情報端末」の活用法を考える

電子ペーパーの利点は「消費電力が少ないため長時間の利用が可能」「電源を落としても最後に表示した画面がそのまま映し出されたままになる」点にある。一方で「画面表示(切り替え)に時間がかかる」「多少画面が暗めに見える」という欠点もある(「価格が高い」のはこれからどうにでもなる問題)。これは今回発表にあわせておこなわれた発表展示会で用いられたデモ機による映像や、同業他社の他の製品でも指摘されていた問題で、電子ペーパー共通のメリット・課題ともいえる。

法人向けの使い道としては、現在も試験運用されているように「街中での広告・ポスター・看板として」など、動きが少なくて済む一方で長時間連続して表示をする必要がある場所に用いるのがベストといえる。先の日立製作所などが実験している電車内の広告などは良い使用例といえるだろう(もっとも表示の暗さが問題視されているようだが)。

一方、個人向けの利用法としては、「携帯情報端末」として利用した場合、「消費電力が少ないため長時間の利用が可能」くらいしか今のところ恩恵を得られそうにない。電子書籍向け端末と考えれば話は別だが、そのニーズが高いと思われる若年層(参考:【女の子に流行る「ケータイで読書」】【ケータイ+漫画=新しいニーズ!? 急増する電子書籍をひも解く】)にとっては、この値段はまだ高すぎる。

あるいはこの電子ペーパーの技術を、既存の携帯電話に組み合わせることができれば、携帯電話の最大の問題点として指摘されている「消費電力の大きさ・継続使用時間の短さ」も改善されるかもしれない。

「電源を使わずに静止画像を半永久的に表示可能」という電子ペーパーの最大のメリットをどのように活かし、消費者のニーズに応える商品を作り出せるのか。富士通フロンテックをはじめとする関連会社の発想力に期待したいところだ。

たとえば卓上写真立て。しかし、たとえ画像が切り替えられるとしても、十数万円もする写真立てを買う人はいるだろうか。微妙なところだ。あるいは絵画レンタルとして貸し出し、データを定期的に切り替えるようにするというのはどうだろう。色々使い道はありそうだ。


(最終更新:2013/08/21)

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

スポンサードリンク



 


 
(C)JGNN||このサイトについて|サイトマップ|お問い合わせ