三角合併の解禁、46.4%が「期待」よりも「懸念」

2007年04月09日 06:30

株式イメージデータ調査会社の【帝国データバンク】が4月9日までに発表したデータによると、2007年5月に解禁される「三角合併」について、46.4%の企業が「期待よりも懸念が大きい」と回答し、解禁をまじかにひかえた今、少なからぬ企業が不安を抱えていることが明らかになった(【発表リリース】)。

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今回の調査は3月22日から31日までの間、全国2万653社に対して行ったもので、9736社から回答を得ている(案外少ないな……)。それによると、三角合併の解禁について、「懸念の方が大きい」と回答した企業は46.4%、それに対し「期待の方が大きい」と回答した企業はわずか7.9%に留まった。同程度と答えた企業は45.7%であることを考えると、三角合併にメリットを感じている企業はほとんどないことが推定できる。特に懸念は建設業や卸売業など、三角合併の対象となりやすい業界に多かった。

また、三角合併の解禁に伴い生じる具体的な懸念としてもっとも多かったのは「大企業の寡占化」でこれが半数以上の52.4%。それに続く「外国資本による買収攻勢」も45.9%とほぼ半数を占める。さらに技術流出や雇用の合理化など、容易に起き得そうな話が続く。

一方期待としては、「国際競争力の向上」が35.8%でもっとも高く、「企業価値の向上」や「対日投資の拡大」が高かった。「どのみちワールドワイドなグローバル化は避けられないのだから、国際的な考えを持つ必要がある」「むしろ外国企業が日本の文化や商習慣を理解して、日本の経済発展に相乗効果を生んでほしい」というポジティブな考えを持つところもあった。

しかしながら「三角合併の解禁が日本の経済の活性化に寄与するかどうか」という問いには約2/3におよぶ64.6%が「寄与しない」と答えており、全般的に三角合併の解禁には否定的である国内事情があらためて裏付けられる結果となった。特に経済回復が遅れているとされている地方圏、セクター別では建設や製造、卸売・小売などでその意見が強い。

残念ながら猶予期間を経て、すでに三角合併は既定事項のもの。【謎の投資ファンド「スティール・パートナーズ」とはその2+三角合併について】でもコメントしたように、買収防衛策を新設したり株主優待制度を増強して企業ロイヤリティの高い個人株主を増やして三角合併に対抗したり、上場そのものを廃止する企業が相次いでいるのも、この三角合併制度の解禁をひかえての動きと思われる。

「閉鎖的で経済に寄与しない」三角合併に反発する動きはいかがなものかと思われるが、一方で経済や企業をかき回されてそれこそ「ハゲタカ」のように食いつぶされて後に残るは残骸のみという「ハイエナ」まがいのことをされたり、国外リスクが増加したりなど、日本国内にとってマイナスとなるような動きも問題となるもの。

各自解禁後の動向には注意を払うべきだろうし、制度上の抜け穴があればすぐに埋めることができるよう、関連官庁は万全の体制で臨んでほしいものだ。


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(最終更新:2013/08/21)

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