3要素をピックアップ・新型インフルエンザ流行に備えた厚生労働省のガイドライン正式発表
2007年04月01日 19:30
先に【新型インフルエンザ対策追加情報小まとめ・厚生労働省のガイドライン発表前に】や【新型インフルエンザで厚生労働省が対策ガイドライン(指針)策定】でお伝えしたように、【厚生労働省】では新型インフルエンザに対するガイドラインを策定、3月29日に同省公式サイト上に既存データの更新もあわせ、最新情報として掲載した(【該当ページ】)。概要は先に報じたとおりだが、今回正式な文章が交付されたことで明らかになったこと、詳細が判明したこともあるので、いくつかざっとピックアップしてみることにする。
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今回更新・発表されたデータは全部で250ページ以上にもわたるぼう大なもので、それらを分析していたのでは、それだけで一冊の本が書けてしまいそうなのでここでは止めておく(笑)。各自じっくりと目を通してほしい。
ここではいくつかのキーワードにしぼってその概要を説明すると共にコメントを付け加える。
●市民の情報源
状況を的確に判断し、デマに惑わされないために「テレビ・新聞・雑誌等のマスメディアやインターネットによる情報収集が有力な手段」とした上で、地域の状況については「地方自治体が提供する情報がもっとも地域に密着したものである」とし、次のような情報源を例示している。
1)都道府県・保健所・市町村の情報
2)国の情報
・【厚生労働省】
・【国立感染症研究所】
・【 〃 感染症情報センター】
・【検疫所】
・【外務省・海外安全ホームページ】
個人的にではあるが「地元の密着情報」という意味では先に【口コミパワー活用サービス三種三様】で記事にしたような、「ポータルサイトのマッピングAPIと投稿機能を融合したCGM的な機能を果たすサイト」が有効であり、かつ求められるべきサイトではないかと考えている。
しかるべき時には有力検索ポータルサイトがそのようなコーナーを作るだろう。スキルがあれば当方も別ドメインサーバー上に設置してもよいのだが……マップAPIとCGMを融合させるフリーフェアツールなどどこにもない(とほほ)。
●個人ベースでの備蓄物品例
新型インフルエンザが「パンデミック」的に広がった際に、少なくとも二週間分の食糧・日用品などは準備しておくべきと記載されている。今回具体的な例が挙げられたのでこちらにリストアップすることにしよう。
■1:食糧(長期保存可能なもの)の例
・主食類
米、乾麺類(そば、ソーメン、うどん等)、切り餅、コーンフレーク・シリアル類、乾パン、各種調味料
・その他
レトルト・フリーズドライ食品、冷凍食品(家庭での保存温度ならびに停電に注意)、インスタントラーメン、缶詰、菓子類、ミネラルウォーター、ペットボトルや缶入りの飲料
■2:日用品・医療品の例
・常備品
常備薬(胃薬、痛み止め、その他持病の処方薬)、絆創膏(大・小)、ガーゼ・コットン(滅菌のものとそうでないもの)、解熱鎮痛剤(アセトアミノフェンなど)※薬の成分によっては、インフルエンザ脳症を助長する可能性があります。購入時に医師・薬剤師に確認してください。
・対インフルエンザ対策の物品
マスク、ゴム手袋(破れにくいもの)、水枕・氷枕(頭や腋下の冷却用)、漂白剤(次亜塩素酸:消毒効果がある)、消毒用アルコール
・通常の災害時のための物品(あると便利なもの)
懐中電灯、乾電池、携帯電話充電キット、ラジオ・携帯テレビ、カセットコンロ・ガスボンベ、トイレットペーパー、ティッシュペーパー、キッチン用ラップ、アルミホイル、洗剤(衣類・食器等)・石けん、シャンプー・リンス、保湿ティッシュ(アルコールのあるものとないもの)、生理用品(女性用)、ビニール袋(汚染されたごみの密封に利用)
ほぼ以前紹介したものと同じである。
●発熱相談センター
先の報道の中で新たに登場した「発熱相談センター」について。これは国外もしくは都道府県外に新型インフルエンザ患者が発生した段階で、保健所ごとに発熱相談センターを設置する、とガイドラインには記載されている。
「発熱相談センター」の目的は、発熱を有する患者から相談を受ける体制を構築するための中核をなすもの。ポスターや広報誌などを通じ、「発熱したらまずは発熱相談センターに電話などで問い合わせるように」という周知を徹底することになる。
相談窓口では、患者の早期発見や患者が事前連絡せずに直接医療機関を受診することによる他の患者への感染の防止、地域住民への心理的サポート、特定の医療機関に集中しがちな負担の軽減等を目的とするものでもある。
極力対面を避けて情報を交換し、本人の情報(症状や患者接触歴、渡航歴など)から新型インフルエンザに感染しているかも、と判断した場合、マスクを着用した上、感染症指定医療機関等を受診するよう指導を行うことになる。
新型インフルエンザの可能性がない患者に関しては、適切な情報を与え、必要に応じて近医を受診するよう指導を行う。
要は「対象地域外で新型インフルエンザが発現し、域内への感染も間近に迫った時期において、初期の対応発動を迅速に行うための情報収集センター」であり、同時に住民にとっての総合相談窓口ともなる。
●どれを読めばいいのか
と、かいつまんで三要素について解説を加えたが、それ以外にも必要事項は山ほどあるし、解説すべきだろうことも多い。しかし医学資格もない当方がぐだぐだくだをまいてもあまり意味はないのかもしれない。
全部で250ページ以上もあるガイドラインすべてを読むのはあまりにも大変、という人も多いだろう。一般の人が事前に最低限必要だと思われるのは【医療体制に関するガイドライン】、【抗インフルエンザウイルス薬に関するガイドライン】、【事業所・職場における新型インフルエンザ対策ガイドライン】、【個人および一般家庭・コミュニティ・市町村における感染対策に関するガイドライン】、【情報提供・共有(リスク・コミュニケーション)に関するガイドライン】(以上すべてPDF)ぐらいだろうか。
今後機会と必要性とニーズがあれば、ポイントを絞って必要な項目について詳細を眺めてみることにしよう。
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