【更新】加ト吉の循環取引疑惑、売買契約書に同社常務名・関連商社も取引を認める

2007年03月27日 08:00

株式イメージ[加ト吉(2873)]の循環取引疑惑で追及を強めている[読売新聞]は、加ト吉と取引企業との間で交わされた売買契約書に、加ト吉の常務名が記載されていたと報じた。また、この「循環取引」に加わったとされる中堅商社の幹部と代理人弁護士が3月26日に報道陣に対し「循環取引はあった」と認めたと伝えている([関連記事])。

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今記事では今年頭から読売新聞が独自取材を重ねていたようで、これまで該当する加ト吉常務への取材に対し「通常の取引以外はあり得ない」と循環取引への関与を前面否定。しかし複数の取引関係者が、加ト吉側の責任者を常務と証言している。また、現在内部調査が行われている社内調査委員会でも、この常務から詳しい経緯を聞き取り調査しているという。

具体的には循環取引において、加ト吉が買主・売主いずれの場合でも、契約書には社名だけでなく常務の名前が記載されていたとのこと。無論常務が勝手に名前を使われていただけ、という可能性も(本人が否定している以上)ありえるが、状況的に見てその説明は難しいかもしれない。

また、循環取引の中で、伝票上ではあるが年間200億円分の商品を販売したことになっている大阪市の中堅商社幹部と弁護士は「循環取引は存在した」と認めている。これについて具体的には「伝票上の仕入先となる香川県の貿易会社から持ちかけられた」「加ト吉の常務からも働きかけがあった」と発言しており、こちらでもくだんの常務の名前が登場する。この商社では名義変更には気づいていたものの、商品が循環し、循環取引が行われていたことには気が付かなかったとのこと。

さらにこの商社では事態の発覚の経緯も説明している。それによると昨年12月に加ト吉側以降で「取引」が中止された後に、商品が保管されているはずの倉庫を調べたところ、販売していたはずの健康食品が、さらに2年前に1/10の価格で販売したものと同一商品であることを確認したという。つまり、「書類上循環させた商品」ですらダミーに近いシロモノであったことが分かる。

加ト吉側では一連の件について26日に[当社に関する一部報道について(PDF)]というリリースを出し、「循環取引については外部弁護士、公認会計士を含めた調査委員会で調査中であり詳細判明次第開示する予定」とし、4月中に調査結果を発表するというこれまでの報道を繰り返す内容のみとなっている。ただ、会社の役員が関与しているという報道や証言が出てきた以上、投資家の懸念も高まるのは必至で、さらなる情報の開示と共に、東証側の投資家への注意喚起も求められることになるだろう。

ちなみに加ト吉の株式は今件が報じれた後の取引初日である3月26日には、権利確定日だったにも関わらずストップ安の750円で張り付き。39万2900株が比例配分で取引成立となったものの、529万6100万株の売り残しとなっている。事態に進展がない限り、今しばらくはこのような状況が続くものと思われる。


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