診断結果で税金が安くなる・医療費控除の対象となる医療費、ならない医療費(下)
2007年03月21日 19:30
医療費控除に関するコラムの下パート。こちらでは具体的に控除の対象となる項目とならない項目についてピックアップしていくことにしよう。ただ、最終的には税務署の判断にかかるところが大きいので、あくまでも「めやす」という程度のものと思えばOKだ。
スポンサードリンク
●医療費控除の対象となるもの、ならないもの
入院費にお薬代、病気予防のためのビタミン剤など医療費と一まとめにくくることはできるが、それらがすべて医療費控除の対象になるわけではない。そんなことをしたら、ダイエットをしている人たちのダイエット食品まで医療費控除ということになり、えらい計算が必要になる。
税務署の担当の最終判断で微妙にさじ加減が違ってくることもあるが、医療費控除の対象となるもの、ならないものは次のように分けられる。
■治療や検査
[対象になる]
・医師に支払った診療費、治療費
・治療のためのマッサージ、はり、きゅうなど
・健康診断の費用(異常がみつかり、治療を受けることになった場合)
[対象にならない]
・医師などに支払う謝礼金
・成人病の定期検診や人間ドックの費用(異常なしの場合)
・ホクロの削除など美容整形費用
・予防注射の費用
・メガネやコンタクトのための眼科費用
興味深いのは健康診断の費用。結果として健康と分かれば医療費控除が受けられないが、治療が必要なら対象になる。健康増進と医療費削減のためには健康診断すべてに控除を広げるべきだと思うのだが、仕組みとしては「不健康だった場合、その状態の一連のプロセスと見なすから」という原則があるからのようだ。
■歯科
[対象になる]
・虫歯の治療費、金歯や義歯、入れ歯費用
・治療としての歯列矯正
[対象にならない]
・美容のための歯列矯正
・歯石除去のための費用
美容のための、はともかく歯石は虫歯になるのを防ぐためのもの。これが対象にならないというのも……やはり変な話。
■医薬品
[対象になる]
・医師の処方せんで薬局にて購入した医薬品
・けが、病気の治療のために、病院などにはいかずに薬局で購入した医薬品
[対象にならない]
疲労回復、健康増進、病気予防などのために購入した医薬品や漢方薬
要は直接の病気の治療のために使ったかどうか。また、疲労そのものは病気と認定されていないようだ。判断基準が難しい、というのもあるのだろう。それから漢方薬についてだが、最近では医者でも漢方薬を処方する部局・医者もいる。処方せんによるものはすべて医療費控除となる。
■通院や入院
[対象になる]
・入院時に提供される食事の費用
・通院や入院のための交通費
・電車やバスでの移動が困難なため乗ったタクシー代
[対象にならない]
・通院のための自家用車のガソリン代
・自己の都合で希望する特別室の差額ベット代など
・お見舞いのお返し
・入院時のテレビ代
恐らくはもっとも判断基準が難しい(かつ、必要な人はほとんどいないだろう)項目。食事費用も厳密にはどこまで控除対象となるか、という判断基準があいまいだし、差額ベット代(割り増し料金を支払うことで、大部屋から少人数部屋、個室に移してもらえる)も、病院都合や病状次第では控除対象となる場合もある。
■その他
[対象になる]
・寝たきり老人の紙おむつ代(医師の証明書が必要)
・クアハウスの利用料金( 〃 )
[対象にならない]
・通常使用のめがねやコンタクトレンズの購入費用
・老齢者の補聴器の購入費用
他にも出産に関する費用の一部も控除対象となるが、これについては省略。必要な人がいたら個別で受け付けるなり答えてくれるところを紹介する。税務署で聞いてもよいだろう。
最後に注意してほしいのは、これらの医療費控除はあくまでも「課税所得が控除される」だけであり、「医療費そのものが返ってくる」わけではないこと。例えば医療費控除額が100万円なら100万円税金が返ってくるわけではなく、100万円分所得が少ないとして税金が計算されることになるだけの話。
それでも概算で、数十万単位で税金が減ることにはなる(100万円分の課税所得が減るから。累進課税などがあるので所得そのものの全体額によって「得をする」額は違ってくる)。会社任せのサラリーマンなら、還付金を受けることもできるだろう。
こういった税金絡みの話は特に、「知っていなくとも別に魂まではとられないが、実は損をしている。それに気がつかないだけ」「知っていればちょっと手間はかかるし費用もかかるかもしれないけど、それ以上に得をする(損をしていたのを取り戻すことができる)」ことが多い。
供与明細や自分が入っている保険の明細書に目を通す機会があれば、今一度少しだけ時間を割いて考えて見てもいいだろう。また、最低でも領収書はこまめに取っておく習慣だけでつけておこう。それだけで、随分とお金に対する考え方が変わってくるに違いない。
■一連の記事
【診断結果で税金が安くなる・医療費控除の対象となる医療費、ならない医療費(上)】
【診断結果で税金が安くなる・医療費控除の対象となる医療費、ならない医療費下)】
参考:医療保障ガイド(生命保険文化センター)
スポンサードリンク
ツイート