「♪大豆を食べると~前立腺がんに効くのさ~」!? 厚生労働省研究班が大豆成分で前立腺がん抑制の調査結果を発表
2007年03月17日 11:00
【JPHC Study(厚生労働省研究班による多目的コホート研究)】は3月16日、大豆などに含まれるイソフラボン成分に、早期の前立腺がんを発症するリスクを低める効能があるらしいという研究結果をまとめ、発表した(【発表リリース】)。61歳以上では発症リスクが最大で半分に減ったという。
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今回の調査では「欧米と比べてアジアでは前立腺がんの発生率は低い。けれど死亡後の剖検ではさほど違いがないように見える(がんの前兆の発生確率はほぼ同じ)。だとすればアジアには特有の環境要因があり、それが前立腺がんの発生を抑えているのではないか」という推測のもと行われた。大豆製品などに含まれるイソフラボンもその「特定の環境要因」の一つとして推定され、エストロゲン活性が予防のメカニズムを担うとされていたが、これまで関係をはっきりと示したことはなかった。
そこで今回、日本の男性4万3000人(45歳から74歳)ほどを対象に、11年あるいは14年にわたって調査したところ、次のような結果が出た。
・大豆製品や栄養成分の摂取量では前立腺がんリスクに違いはない。
・前立腺がんを限局がんと進行がんに分けて比べると、前者では大豆製品、ゲニステイン、ダイゼインの摂取量が多いほど、リスクが低くなった。特に61歳以上では半減している。
・進行がんではみそ汁の摂取量の多いグループでリスクが高くなった。
これらの結果から、研究所では「イソフラボンには、ラテントがん(がん発症の前段階)から臨床がんになるまでの期間を遅らせる作用があると考えられる」とする一方、「日本人は子どもの頃から継続的に大豆製品を食べているので、いつごろ、どれくらい食べれば予防効果が高いのかについては、この研究からはわからない」と述べている。また「イソフラボンと進行性前立腺がんとの関係がまだはっきりしていませんので、サプリメントの摂取の効果についてはわからない」ともしている。
今回の調査結果はあくまでも統計学的なものによる結果なので、化学的に「こういう作用・反応をするのでがんが抑えられる」という証明にはならず、イソフラボンの前立腺がん予防効果を確証付けるものでもない。とはいえ「適量の」大豆製品を食することで、何らかの改善点が見出される可能性も明らかになったわけで、今後のさらなる研究に期待が持たれるところではある。
もちろん過ぎたるは及ばざるが如し。過度に摂取しても何の意味もないどころか悪影響を及ぼしかねない。何事も中庸が肝心だといえよう。
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