監査法人の不正に課徴金など会計士法改正案が閣議決定
2007年03月14日 06:30
【日経新聞】が報じたところによると政府は3月13日、監査法人への信頼回復を目指した公認会計士法改正案を閣議決定した。今国会で成立すれば2008年度から施行される。粉飾決算に関与した監査法人に事実上の制裁金にあたる「課徴金」を科す制度を新設し、不正会計事件の再発を防ぐ狙いがある。監査法人制度を抜本的に見直すのは約40年ぶりとのこと。
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改正案の骨子は大きく三つ。まず一つは「課徴金制度」。所属する会計士が粉飾決算に意図的に加担した場合、監査法人自身に対しても期間中の監査報酬の1.5倍の金額を科す。
次に行政処分として、現在は「戒告」(注意を促すのみ)と「業務停止命令」「解散命令」との間の「実影響はあるが強力ではない」という中間に位置するものとして「課徴金納付命令」「業務改善命令」「役員解任命令」を新設し、フレキシブルな対応ができるようにする。
三つ目に企業との馴れ合い監査を防ぐため、規模の大きい監査法人の監査責任者については、同じ企業を続けて監査できる期間を現行の7年から5年に短縮する。まるで江戸幕府による外様大名への国替え政策のようだ。
行政側の監視体制や法の実行への決断力が大きな鍵となるし、「政治的配慮」も見え隠れする場合があるので、今回の改正案が成立しても即監査法人への信頼が回復されるわけではない。多くの投資家にとって「信頼できるはずの監査法人があのような体たらくでは、投資そのものもやってられないネ」という市場への失望感を与えるようなことのないよう、まずは監査法人やそこに属する人たち一人一人が自分の立場と社会的使命感を再認識し、業務を遂行してほしいものである。
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