企業が社員に求める能力は「主体性」「実行力」「課題発見力」など
2007年03月13日 06:30
【経済産業省】は3月12日、企業が職場で求める社会人としての基礎的な能力について、企業の人事部に対し行ったアンケート結果を発表した(発表リリース)。2006年10月に行われたものだが、企業の大部分が「主体性」「実行力」「課題発見力」など「社会人としての基本」を求めており、その上で職種・企業別に重視する能力の違いがうかがえる。
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今調査は東証一部上場企業1747社と中堅企業1968社に問い合わせ、684件の回答を得て集計したもの。詳細はリリースで確認してほしいが、概要をまとめると次のようになる。
・9割以上の企業が「社会人基礎力」を重視
・特に「主体性」「課題発見力」「実行力」を求めているが、これらの点や「創造力」については自社の若手社員には不足していると認めている。
・職種別では「営業系……前に踏み出す力」「企画系・技術研究系・金融系・IT系……考え抜く力」「事務系・管理系・販売系・サービス系……チームで働く力」というように、部門によって求められている力が大きく異なる。
・特に金融系では「考え抜く力」が最も強く求められており、「チームで働く力」とともに全職種平均を上回っている。
・IT系では「考え抜く力」が最も強く求められており、要素別では「課題発見力」「情況把握力」「創造力」を求める企業が多い。
・東証一部上場企業の方が中堅企業よりも「求める人材像」を明確にしている。
・「前に踏み出す力」を重視する企業が多い。
・中堅企業では東証一部上場企業よりも「チームで働く力」を重視する傾向にある。
また今回の調査からは、「企業が求めている能力と新人・若手が持つ能力との差が問題だ」とする企業側の意見も多数見受けられた。企業側が「即戦力」を求めているのもこのあたりを根拠とするのだろうか。
古代エジプト時代から言われていた「最近の若者は」の言葉に代表されるように、企業側が新人、若年層社員の能力不足を痛感しているのは理解できよう。一部大学生の学力の「高さ」が報じられる昨今、手のつけようがない新人や若年社員が存在するのも理解できる(もっともそういう社員はそもそも入社させなければよいだけの話)。
ただ、これらのスキルは一部は家庭生活や学校生活で習得するべきであろうが、少なからぬ部分は企業での実践において学び、勝ち得ていくものではないだろうか。もちろん結構な経験を経ているのにちっとも成長しない体たらくな状況なら問題はあるが、入社して間もない社員にいきなりパーフェクトサラリーマンのスキルを求めるのは酷すぎる。
それなのに自社内における講習や訓練などの教育プロセスをおざなりにし、「あれが足りないこれが不足している」というのは、いささか問題がある気がする。「そんなパーフェクトな能力があるのならそもそも入社せずに独立している」「アンケートに答えた人事担当や企業に欠けているものを求めている」「誰か他人やお上の言うことを聞いていればそれでよかった護送船団時代に、社畜といわれていた人たちがいうセリフか」というツッコミを受けても仕方がないだろう。
求めるならばあれもこれもと贅沢に考えるのは理解できる。ただ、それがかなわないのなら、「手ゴマ」を求めるべき能力を持つ者に成長させるという考えはないのだろうか。今回のアンケート調査ではそのあたりの意志を反映する機会がないのかもしれないし、特に中小企業では企業の成長と共に社員を育て上げていく余裕など無いというのが実情なのかもしれないが……。
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