【更新】東証・大証、日興コーディアルについて「上場維持」と判断
2007年03月12日 19:35
【東京証券取引所】は3月12日、現在不正会計問題で監理ポストにある【日興コーディアルグループ(8603)】について、上場廃止に値するほどの不正とまでは言い切れないとし、上場を維持すると発表した。13日にも監理ポスト割当を解除する。同銘柄は2006年12月18日から監理ポストに移行していた(【発表リリース】)。また、【大阪証券取引所(8697)】も同様の判断を下した。
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17時半から記者会見を行った東証の西室泰三社長は「日興コーディアルグループが該当しないことを確認し、監理ポスト割り当ての解除を決定した。日興のケースは赤字を黒字と偽る粉飾目的ではなく、組織的、意図的とはいえない。よって株式の上場を廃止するだけの不正とはいえない」「日興の役員の不正への関与は否定できない状況にあるが、組織的・意図的に行われたとまではいえない」とし、維持を決定した。
今回の判断について結局東証・大証はそれなりのペナルティを課しながらも「上場廃止に至るほどの不正ではない」と判断したことになる。しかし、金額や会社本体との関与度もあわせて考えると、先に類似要件として今件とよく比較対照されるライブドアの件では早期に上場廃止の判断が下されたことと比較し、果たしてこの判断が適切なものだったのかどうか、東証の判断発表リリースや記者会見での西室社長の弁の内容も含め、改めて論議の対象となることだろう。特に新興市場で相次ぐ不正会計問題について、市場そのもののモラルハザードとなる危険性を考慮すると、問題視されることは間違いない。
なお日興の株式についてはすでに【日興、シティグループとの資本業務提携を公式発表・TOB価格は1350円】でも報じているように、アメリカのシティーグループが友好的TOBを1350円の設定で実施する予定だが、日興の株式を保有する4外資ファンド(オービス・インベストメント・マネジメント(6.9%)、ハリス・アソシエイツ(7.2%)、サウスイースタン・アセット・マネジメント(6.6%)、マッケンジー・グループ(5%超))はいずれもこの価格ではTOBに反対を表明している(【参照記事:日経新聞】)。一部ファンドは2000円を妥当な線としており、今後さらにさまざまな駆け引きが繰り広げられることになる。
特に、今回のTOBは半ば「上場廃止となった場合の信用力・資金調達力を確保するためのもの」という意味合いが強かっただけに、上場維持となればTOBそのものの意義が薄れることになる。これを市場関係者がどう判断するのか、明日以降の株価が映し出すことだろう。
また今件については幾度と無く主要新聞社から「関係者の話として」上場廃止が報じられ、そのたびに東証側では警告がなされていた。今回の上場維持はこれらマスコミ側の先行報道に反発する意趣が、100%無かったとは言い切れない。この点についても、改めて問われる点が出てくると思われる。
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