謎の投資ファンド「スティール・パートナーズ」とは

2007年03月12日 08:00

株式イメージ【明星食品(2900)に筆頭株主の米系投資ファンドによる敵対的TOB】【米投資ファンドスティールパートナーズ、日本企業の株式続々買い増し】にもあるように、昨年後半から日本国内企業に対する活動を活発化したように見える、アメリカ系の投資ファンド「スティール・パートナーズ(Steel Partners)」。謎の多いこの投資ファンドについて、詳細を解説する記事が福岡の企業情報を提供する【ネットIB】のコラムに掲載された(【その1】【その2】)。

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元記事によると「スティール・パートナーズ」は2人のユダヤ系アメリカ人ウォレン・リヒテンシュタインとトム・ニーダーマイヤーによって旗揚げされた。彼らは1990年代にケイマン諸島(税金を安く済ませるために多くの企業が法人設立をしている、タックスヘイブンとも呼ばれる)に複数の投資ファンドを設立、その一つが「スティール・パートナーズ」で、他にスティールの別部隊としてリバティ・スクエアというファンドもあるという。

興味深いのはこのファンドが設立された直後、両者は来日し、村上ファンドの村上世彰氏をたずねたという。村上氏は、「スティール・パートナーズは『時価総額が純資産を下回る割安な株に注目している』。つまりは村上ファンドがしているようなことを日本でスティール・パートナーズも行いたい」という相談を持ちかけたとのことだ。そして村上氏の手法同様に、大量保有報告書の必要がない5%未満の株式を買い集め、2002年に日本法人を設立(日興證券のOBである黒田賢三氏と西裕介氏を代表に据えた)してからは【ユシロ化学工業(5013)】【ソトー(3571)】に敵対的TOBをしかけ、表舞台に姿を現すことになる(参考:【ノーリツ(5943)に投資ファンドが10倍以上の増配要求】)。

また、スティール・パートナーズは村上ファンドを意識し、さらに意思疎通を図っていたとのこと。詳細は上記リンクから元記事を参照してほしいが、同ファンドの戦略や村上ファンドとの類似性は非常に興味深く、行動パターンを読み取る良い材料になるだろう。

「スティール・パートナーズ」は当サイトで取り上げた以外にも、2月15日に【サッポロホールディングス(2501)】への株式公開買い付け(TOB)を提案していることでも世間を騒がせている。しかしそのファンド名で検索してもニュースはピックアップできるものの、ファンドそのものの公式サイトは見つからず、データも無い。かつての「村上ファンド」も詳しい内情を説明するサイトは無かったから「ファンドって得てしてこういうものなのか」と思っていただけに、今回のような記事は非常にありがたい。

なお元記事後半では一連のライブドア事件のあと、スティール・パートナーズにおいては本社のウォレン・リヒテンシュタイン、トム・ニーダーマイヤー両氏の意向である「村上ファンドが無くなった今、日本で敵対的買収も含めた積極的な活動をするファンドとして振舞うべきだ」という方針に方向転換をしたと伝えている。彼らの動向を注目したい場合には、先に挙げた記事内のリストが役に立つことだろう。


(最終更新:2013/08/22)

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