「消費期限」と「賞味期限」の違いとは?
2007年03月04日 19:30
【不二家(2211)】の衛生管理問題は【山崎製パン(2212)】の技術支援などでようやく収束に向かいつつあるようだが、一連の報道で気になる言葉があった。「消費期限」と「賞味期限」、両方とも食品の「食べても大丈夫だよ」とする期限表示ではあるが、不二家の場合は「消費期限」切れの牛乳などを使用していたことで問題になった。「消費期限」と「賞味期限」両者の違いはどこにあるのだろうか。
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記憶にとどめている人もいるだろうが、食品の期限表示は昔、1995年3月までは「製造年月日」が主流だった。これが1995年4月から「消費期限」「賞味期限」の2種類に切り替えられることになった。流通網の進歩や保存技術の発展で、食品そのものがよく日持ちするようになったため、「いつ作ったか」よりも「いつまで大丈夫か」を表示した方が分かりやすい、とする考え方からだ。
「消費期限」「賞味期限」の表示は日本農林規格(JAS)と食品衛生法で定義が定められている(ちなみに表示違反に対する罰則はあるが、今回の不二家のように期限を過ぎた食材を加工しても違反行為には当たらない)。簡単に説明すると「消費期限」は品質が劣化しやすいもの、例えばお弁当や惣菜などが良い例。不二家の洋菓子などをはじめとする生菓子もこちらに該当する。「早く消費しないと食べられなくなっちゃうよ」というところだ。総菜屋の惣菜で見かける、「消費期限・何月何日何時」といった表記のように、時間まで指定するものもある。
一方「賞味期限」は品質が比較的劣化しにくいもの、缶詰めやレトルト食品などが該当する。こちらは「これを過ぎると美味しくなくなっちゃうよ、味は保証しないよ」というところか。「消費期限」の場合と異なり、期限を過ぎればすぐに「食べたら駄目よ」というわけではないのが大きな違い。
「消費期限」と「賞味期限」のどちらを適用するかの分かれ目は、製造や加工日から5日以内しか持たないか、6日以上長持ちするかで区分する。
消費期限 | 賞味期限 | |
期日表記 | 年月日で表記。時間まで表示するものも。 | 年月日で表示(三か月を超えるものは年月の場合も) |
対処法 | 期限を過ぎたら食べない方が良い。 | 期限を過ぎてもすぐに食べられなくなるわけではない。 |
具体例 | お弁当、惣菜、食肉、生めん、サンドイッチ、調理パン、低温殺菌牛乳、生菓子 | スナック菓子、缶詰め、インスタントラーメン、レトルト食品、牛乳、ジュース |
5日未満なら「消費期限」
不二家の例で例えると、シュークリーム自身やその材料の低温殺菌牛乳は「消費期限」の対象、カントリーマァムやルックなどは「賞味期限」対象となる。
興味深いことに、同じ食品でも「消費期限」「賞味期限」両方が用いられる場合がある。例えば牛乳。一般的には「賞味期限」が用いられるが、その性質上品質が劣化しやすい低温殺菌牛乳は「消費期限」が用いられる。一度じっくりとそれらの牛乳のパッケージを調べてみるとよいだろう。
注意しなければならないのは、「消費期限」「賞味期限」両方とも、「未開封」「指定された条件で保存」していることが前提であること。一度封を切って外気に触れてしまうと、期限切れの前でも品質が劣化してしまう可能性は高い。ほとんどの食品で「開封後はお早めにお召し上がり下さい」とあるのはこのため。
また、両期限の設定は法律で定められているのではなく、各製造業者・加工業者が独自のガイドラインを元に設定している。視覚や味覚、香り、細菌類の数、粘り気などそれぞれの食品にマッチした基準を創り、それを元に期限を決めている。不安が無くもないが、実際に食品が傷む期限よりは余裕を持たせたものになっているので、例えば「一日過ぎたからすぐに全面が傷んでしまう」ということはない。ただし「消費期限」の食品は元々痛み出す時間が早めのものなので、用心するに超したことはない。
さらにトリビア的で、かつ一部問題になっている話ではあるが、消費期限が近づいた食肉や刺し身などの生ものを過熱加工し、別の食品としてしまうと、「加工した時点」から改めて消費期限・賞味期限を設定できる。
例えば
豚肉ステーキ→トンカツ→卵とじカツどん
という形で売れ残り商品を次々に変化させることで、消費期限を繰り延べさせることが出来るようになる。法的には問題ないのだろうが、もしこのようなことが行われていた場合、「資源の有効活用」「もったいない精神にのっとる」と賛美するのか、「法の網を潜り抜けている」「事実上のごまかしだ」と反発するのかは、消費者一人一人の判断次第だろう。
ともあれ、「消費期限」と「賞味期限」とはこのような違いがある。封を切った食品は早めに「平らげる」のを今まで以上に心がけると共に、食品を手に取る時にちょっとだけでもいいから表記に注目してみてはどうだろうか。
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