「定年後も働く」団塊世代は84.9%、大部分は経済的理由から
2007年03月25日 11:00
ネットリサーチ会社の【マクロミル(3730)】は3月22日、団塊世代の定年に関する調査結果を発表した(【発表リリース】)。それによると、定年退職を迎えたあとも働く予定がある人は84.9%におよび、その理由としてもっとも多くあげられたのは「経済的な理由から」とするものだった。
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今回の調査は3月6日から7日のあいだ、団塊世代(昭和22年から24年生まれ)の男性会社員・公務員を対象にネット経由で行われたもの。515名の有効回答が得られた。この世代は今年から退職を迎えるため、大量の定年退職者問題が日本企業の課題としてのしかかる「2007年問題」「団塊世代退職問題」が世間一般にも話題になっており、気になる調査結果ではある。
「定年退職後も働きたいか」という問いには、純粋に「働きたい」とする人が57.1%と過半数を占めた。そして「働きたくないが働く予定」と27.8%を占め、あわせると84.9%の人が「定年退職後も働く」と回答した。
また、「定年退職後もなぜ働くの?」という質問には、「経済的理由から」がもっとも多く70.3%、ついで「健康のため」47.4%、「社会との接点を持ち続けたいから」41.6%、「自分の技能や経験を活かし続けたいから」33.2%など、社会的な自分の立場を維持したいという意見も多く見られた。
定年後も働く理由
一方、「定年退職後は働く予定がない人に、働きたくない理由は?」とたずねたところ、「自分のために時間を使いたいから」がもっとも多く71.8%、「家族との時間を大切にしたいから」41.0%、「仕事以外にやりたいことがあるから」35.9%という回答が得られた。悠々自適ライフを満喫したい様子がうかがえる。
定年後働きたくない理由
経済的視点での質問もいくつか行われているが、例えば退職金の額については「2000万~3000万」が19.4%・「1000万~2000万」が15.7%と(「分からない、答えたくない」以外では)もっとも多く、「1000~3000万円」で全体の3割強を占めている。その一方で、「退職金は出ない」と回答した人も14.2%おり、「会社員・公務員」を対象にした調査結果としては、少々悲しいものがある。
一方、証券や株式などの運用資産を除いた貯蓄額では、「300万円未満」がもっとも多く17.7%を占めているが、それより上の層も平均的に分かれており、あわせると「1円~3000万円未満」という層で66.1%を構成することになる。だいたい「純粋な貯蓄」としてはこの層が平均的なのだろう。
金銭的な問題は当然のことながらメンタル的な部分にも大きく影響を与えているようで、「定年後の不安」として挙げられたもっとも大きなものは「経済的な不安」で71.5%がそうだと答えている。本来「健康に対する不安」(48.9%)がトップにたってもおかしくないはずなのに、それを20%以上超して金銭面での不安が得票しているあたり、年金や退職金など、金銭に関する老後の不安は非常に大きいことが分かる。
非常に大雑把ではあるが団塊世代の定年退職後の平均像をこの調査結果から想定すると
「退職金は数千万円台前半、お金に不安を持ち、それが理由で再就職する。退職金からは一千万円強を運用にまわし、残りは預貯金。時間の拘束から解放されるという期待感があるが、希望と不安で半々な気持ち」
というところに落ち着くのだろうか。調査結果の中に「退職金・預貯金のどれくらいの割合を投資に回しているか」という設問がないので詳しい配分は図り知ることはできないが、「団塊世代の定年退職による投資へのブーム到来」という話は、半ば当たり、半ば外れ、という雰囲気が感じられる。
おりしも先日発売された、月刊投資情報誌『ZAiの5月号』では別冊付録として、「絶対に失敗できない団塊世代のための退職金運用BOOK」がついて、このテーマに関して漫画や図解で分かりやすく説明していた。
要は、人生設計におけるお金の行動計画表こと「ライフプラン」をしっかりと立てて、その上で自分の現状にあったポートフォリオを設計し、運用していくというもの。無計画で貯金や退職金を浪費しては、すぐに底を尽きてしまいますよというお話だ。
多少の「投資あおり」の雰囲気が無くもないが、預貯金金利での運用が事実上不可能な昨今、『金持ち父さん』のお話ではないが「お金に働いてもらう」ようにしなければ生活できなくなるのは疑いようのない事実。
当サイトの読者に定年退職をまもなく迎える人がどれだけいるのかは不明だが、身内になら恐らく誰でも一人くらいはいるだろう。「運用術」や「ライフプラン」について、真剣に考えるよい機会かもしれない。
(最終更新:2013/09/11)
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