2月28日の株価急落の一因はダウ・ジョーンズのシステム不具合
2007年03月01日 12:30
アメリカの有力経済紙「ウォールストリート・ジャーナル」を発行しダウ平均といわれる「ダウ・ジョーンズ工業平均株価」の制度を管理運営している【DOW JONES】は2月28日、2月27日の株価急落の原因の一つとも言われているシステム障害について、70分にわたって問題が発生していたことを明らかにした(【発表リリース】)。
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【ニューヨーク証券取引所(New York Stock Exchange、NY証)】にも提出した書類と同一文書とされる今回のリリースによると、ダウ平均を構成する30銘柄の株価データ(ダウ工業平均株価、DJIA)を取り込むシステム上において、現地時間の午後1時50分から70分の間、午後3時まで障碍が発生した。この間、指数計算そのものは続行していたが、その計算結果がリアルタイムには反映されずに市場展開は進行。
代わりのシステムを稼動しリアルタイムに数字が反映されるようになった午後3時には、これまで表示されていない部分が抜け落ちて、本来ならじわじわと下落していた部分がまとめて反映され、急落した株価が突然出現するという、異常事態が生じた。つまり下げ幅が計算ミスだったというわけではなく、単に「計算結果の反映の遅延」「遅延された分がまとめて反映されたので指数が急降下」「何か大規模な売りが生じる原因があったわけではない」ということになる。
なおダウ・ジョーンズ側では情報遅延について謝罪すると共に今後の改善策を模索するが、同時に今件で投資家に損害を与えたことはないとし損害を補填するつもりはないとしている。
2月28日前後のダウ平均動向。28日午後3時に、システムを代替のものに切り替えた結果、これまで遅延して反映されていなかった下落分がまとめて反映され、ナイアガラの滝状態になったことが分かる。
この原因についてリリースでは何の説明もないが、【日経新聞】の分析によると、2月27日において株価急落を受けて指数裁定取引の制限措置(サーキットブレーカー)が発動され、先物が売れなくなった投資家が代わりに現物株式を売るようになり、現物株式市場の売りが殺到。システム障害を招く大きな要因になったようだと分析している。
2月28日には東証でも【裁定取引の制限措置の実施予告について】にあるように裁定取引の制限が行われる予告が行われ、「先物取引制限」「現物に売り殺到」「現物処理追いつかず」というドミノ倒し的現象が起きる可能性があった。幸いにもTOPIXは1711.33ポイントまで下がらず、サーキットブレーカーは発動せずに事なきを得たが、2月28日の現物取引では多くの現物株式のまとまった売りがあったことが確認されている。
システム障害による表示の不具合もあるだろうが、結果として株価が大幅に下落したことに違いはない。東京株式市場もあおりを受けて、2月28日・3月1日と続いて軟調に推移している。かの有名な個人投資家B.N.F.氏もテレビ取材を受けた中で、28日だけで2億円も損をしたと言及するなど、少なからぬ下落の影響を受けている。少なくとも来週週末の小SQまでは、東京株式市場は底値を探りながら軟調な展開が続くかもしれない。
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