SBIイー・トレード証券(8701)で回線障害などに関する規約改定。「自分のせいじゃないものは責任負わない」を明確化
2007年02月01日 20:00
ネット証券最大手の【SBIイー・トレード証券(8701)】では口座開設者に対し、インターネット取引における規約の変更について確認を開始した。変更部分が提示された規約によると、昨今の情報配信に関する障害を反映し、責任の明確化を行うための規約追加の文言が追加されたものとなっている(【発表リリース、PDF】)。
スポンサードリンク
具体的には免責事項(責任を負わない項目)についての一覧に、次の文章が追加された。「」内斜線部が新たに追加された部分。
第21条 当社および証券投資情報等の発信元は、次に掲げる事項により生じるお客様の損
害については、その責任を負わないものとします。
(2) お客様からの注文が、当社の重大な過失によらないシステム上の制限、エラー、内容の瑕疵等により発注されなかった場合または誤った発注となった場合「(証券取引所等における障害、当社に株価等の情報提供を行う者における障害、又は回線障害によって当社が正常に株価等の価格情報を取得できなかったことに伴い、お客様からの条件付注文等が発注されなかった場合または誤った発注となった場合を含みます。)」。ただし、本号の事態が発生した場合であっても、当社の重過失の有無に関わらず、それまでに成立した取引の有効性には、何ら影響が及ばないものとします。
かみ砕いて説明すると、「こんなことがあってもイートレ側や証券投資情報などの発信元の責任ではないよ」とする事項に、「証券取引所や株価などの情報提供をする場所、回線障害などで注文がうまく行かなかったり誤発注となった場合」が具体例として追加された。
これはここ一年の間に起きた、
1.【2006年1月のライブドア騒動で売りが殺到し東証の許容量を超えてしまい1月18日に取引を全面停止した件】
2.【台湾地震の影響でロイター通信からの情報が止まり株価などのデータが配信されなくなった件】
などが影響しているものと思われる。要は「天災みたいなものだからあきらめろ、自分らのせいではないのだから」ということを明確化したものだろう。納得がいく、というか承諾せざるを得ない話ではある。上記の二例の場合を見ても、証券会社側に責任はないからだ(もちろん八つ当たりの対象にはなるだろうが)。
逆に考えれば、このように具体例を明示しなければならないほど、これらの問題がここ数年の間に頻発し、個人投資家らから苦情が寄せられたことが推測される。ライブドアの件は突発的イベントのようなものだし、地震は人知では防ぐことはできない。だが例えば前者なら、あらかじめ処理能力に余裕を持たせる・あれほど多量の株式を発行させるという(今から考えれば)非常識な行動を押しとどめたり、後者なら回線障害を想定した危険分散のシミュレーションと対策を講じておくなどで、問題を回避したり影響を最小限にとどめることはできるはずだ。
「仕方ないから何があっても責任負わないよ」ではなく「責任負わないけど最大限の努力はしますよ」の意味を込めているよう受け止めたいし、イートレだけでなく証券関係各社は自らがインフラに携わっていることを自覚した上で、人知の限りを尽くして安全策を講じ、常に模索を続けてほしいものだ。
スポンサードリンク
ツイート