【更新】「値下げ不十分なら受信料支払い義務化は見送り」菅義偉総務相語る

2007年02月28日 03:30

時節イメージ[産経新聞]などが報じたところによると2月27日の閣議のあとで菅義偉総務相は記者団に対し、先日からNHKとの間で論議が交わされているNHKの受信料の引き下げと支払い義務化の問題について「経営改革と受信料の引き下げ、義務化はセット。義務化だけしてNHKを焼け太りさせることは、国民の理解を得られない」とコメントした。値下げなどNHK側の対応が総務省側の要望に応えられない内容である場合、支払い義務化が見送られる可能性を示唆した。

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今件は【NHK受信料を2割値下げした上で2008年度から義務化へ・菅義偉総務相】にもあるようにさる1月11日に菅総務相がNHKの受信料の義務化を名言したことに端を発したもので、総務省側では「今国会に放送法の改正案を提出し、2008年度から受信料の支払い義務化できるようにする。が同時に経営改革と受信料の2割程度の引き下げを」と求めており、先日はその2割引き下げについての根拠となる試算も提示した。一方NHK側では「試算に9月までかかるし値下げできるかどうかは分からない」とする一方で「放送内容に指図するのはメディアに対する挑戦だ」として反発。激しい駆け引きが続いている。

「受信料義務化」については放送法の改正案の提出時期が3月13日であるだけに「この日までにNHK側が総務省の意向に沿わないと法案を出さない=義務化は見送り」というブラフをかけたと考えられる。あるいは最後にして最強の切り札を総務省側が出してきたともいえよう。

一方自民党内部でも通信・放送産業高度化小委員会では「受信料の支払い義務化とNHKの経営改革は別問題」とする意見も出るなど、政府側でも多少の意見の違いが出始めている。

とはいえ、受信料義務化のタイムリミットが今回提示されたことで、NHK側がどのような反応を示すのかに注目が集まっている。「経営改革」がどのような内容になるかはこれからの検討課題だが、現状では公共放送の先陣を走っているはずのNHKとしては相応しくないような方向を向いている内容の放送の割合が増えてきたり、相変わらず経営内部が不透明であるという指摘も多く、今回の総務省とのやり取りと結果次第ではよい機会になるのでは、という期待の声も多い。

ともあれ、あと2週間以内にどのような決断がなされるのか見守りたいところだ。

「2割値下げで2008年度から受信料支払い義務化」(1月11日、菅総務相)
「もう限界だから受信料値下げは無理」(1月12日、NHK会長)
「合理化すれば値下げは可能」(1月16日、総務次官)
「今の受信料のままでは国民が許さない」(1月17日、菅総務相)
「支払いを義務化しても受信料がすぐに増えるわけではない」(1月17日、NHK経営委員長)
「状況を見極めたうえでお答えせざるを得ない」(1月17日、NHK橋本会長)
「きちんと説明できる態勢作りをしろ」(1月17日、菅総務相)
「値下げはすべきだが受信料義務化で契約者数が増えてから」(1月18日、民放連会長)
「徴収コストがかかりすぎ。抜本的な見直しをして数値目標を設定しろ」(1月26日、菅総務相)
「値下げは将来的にはしたい。でも分からない。具体的な数字は挙げられない」(1月26日、NHK橋本会長)
「料金体系の抜本的見直しを9月までにまとめる。その中で可能ならば値下げを考慮する」(1月31日、NHK橋本会長)
「受信料支払いの対象を把握するために住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)を使いたい」(2月1日、NHK橋本会長)
「9月では遅い。もっと早く結論を出せ。住基ネットなど必要は無い。現在の住民票による調査で十分だ」(2月2日、菅総務相)
「住基ネットのデータは不必要。既存システムでやりくりしろ」(2月5日、総務省松田隆利事務次官)
(ここまでで「2割値下げと総務省は言うがその根拠を示せ」NHK側)
「2割値下げの根拠を4パターンに分けて提示した。今後さらに精査してつめていく」(2月5日、総務省)
「色々考察する必要があるので値下げができるかどうかの試算に9月までかかることは譲れない」(2月13日、NHK経営委員長)
「受信料義務化は必要だがNHKの改革とワンセット。今は全然改革が進んでいない。だから義務化には反対」(2月23日、総務省タスクチーム)
「受信料義務化のタイムリミットは3月13日。それまでにNHK側は誠意ある態度を示せ」(2月27日、菅総務相)←今回はここ。


(最終更新:2013/08/22)

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