対イラン戦では空軍・海軍が主軸……アメリカ軍の作戦行動予想

2007年02月25日 12:30

アメリカ空軍イメージ核施設問題で国際的な協調に賛同せず独自路線を貫き、諸外国から反発を受けながらも強硬姿勢を続けるとともに大規模な軍事演習を繰り返して挑発を行うイラン。そのイランに対しアメリカ軍が作戦行動に出た場合どのような手順を採ることになるのか、【NavyTimes】が予想記事を掲載した。

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アメリカ軍の作戦行動の目的は、イラン国内にある核施設及び関連工場(弾道弾製造工場など数十か所に及ぶ)の破壊にある。そのため、主に周辺地域の空軍基地や空母艦載機などによる「海からの急襲」で、決着をつけようとするだろうとしている。第一段階として、作戦行動を妨害するであろうイラン海軍に対し、ペルシャ湾内での撃滅戦が展開されるであろうこと、多少の被害は出るかもしれないが、海軍と空軍戦闘機によってイランの防空網は壊滅してしまうだろうと推測。直訳すれば「第一ラウンドはアメリカサイド」。

B-52戦略爆撃機イメージより詳細に解説すると、空母艦載機や陸上基地から発進した空軍爆撃機、特にB-52戦略爆撃機から発射された巡航ミサイル、海軍の潜水艦や洋上艦艇からの短距離・巡航ミサイルによる複合攻撃が行われるとされている。特に精密誘導爆弾・ミサイルについては、精度の高い攻撃を必要とする施設(民間施設が混在する地点への攻撃)に使われるとしている。またこれらの手法は対イラク戦の際に用いられた多次元的一斉攻撃のそれと同じようなものであり、首脳部への最後通達の後に行うというパターンも踏襲するだろうとしている。

アメリカの航空戦力を妨害するものとして、イランの空軍戦力が問題視されているが、イランはかつてアメリカの友好国としてさまざまな装備を供給されていたことから、それらの生き残りも動員されるのではないかと述べている。具体的にはMiG-29が40機以上、F-14トムキャットが50機以上は「装備している」という計算になる。もっとも整備能力の点で大いに問題があり、実働戦力数は数分の一に過ぎないのではないかと記事では分析している。

さらに地上軍の対空火力も侮れない。1700基もの対空機関砲や、少なからぬ携帯用対空ミサイルも装備しており、攻撃側も何らかの対応策をとらないと無傷ではいられない。

また、特にアメリカ海軍はイランの型破りの攻撃方法によって、大きな損害を受けるかもしれないともコメントしている。イランには小型のミサイル艇が多数装備されており、これらによる「特攻攻撃」、またロシア製のディーゼル潜水艦や小型潜航艇も脅威になりうると分析している。さらに高速で射出されるミサイル魚雷を開発したとも噂されており、この使用も推定される。

すでに先日報じられているように、日本にロナルド・レーガン原子力空母が派遣されたが、これはジョン・C・ステニス空母を含む機動部隊がこの方面に派遣されたことに伴うもので、この地域に展開する機動部隊はD・アイゼンハワー空母を中心とする機動部隊とあわせて2個機動部隊に増強されている。

イランは各種ミサイルの発射実験を繰り返してアメリカ側を挑発しているが、アメリカのブッシュ政権と軍では対イラン戦の計画そのものを否定している。もちろんペルシャ湾周辺とそこに位置する友好国の安全は国益にかなうものである、という言及も忘れていない。

対イラク戦の時と異なり、現地軍の士気が相当高く、前線の士気崩壊で雪なだれ式に状況が進展していくとは想定しにくい対イラン戦。イラク戦終了後の対応ですら有効策を見出せないようでいるアメリカにとって、対イラン戦は「想定しうるがリスクがあまりにも高すぎる」ものとして見えているに違いない。

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