「遺伝子組み換え食品」をチェックするためのガイドブック、「トゥルーフード・ガイド」とは
2007年02月04日 19:30
先に【「不使用」だけど不使用じゃない! 遺伝子組み換え原料表示のトリック】でも触れた、遺伝子組み換え食品に関するお話はそこそこ反響があったようで、書いた本人も驚いている。そこで今回は、その記事で最後にちらりと触れた「某所から取り寄せた関連資料」について説明しよう。もったいぶっているが何のことはない。【グリーンピース・ジャパンが無料配布している】「遺伝子組み換え食品」に関するガイドブック「トゥルーフード・ガイド」だ。当方としては請求時は「タダだからとりあえずもらっておこう」という気持ちが半分、内容に関する興味がもう半分といったところだった。
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先の記事ではいただいた感想の中に「計算上では確かにそうだが、実際にそんなインチキまがいなことをする会社など無いのでは」という懐疑的な意見もあった。すべての物事が性善説でまかり通ればよいのだが、そううまくことは運ばないのが世知辛い今日この頃。「今、そこにある危機」というレベルではないけれど、可能性としてはゼロではない。
各企業が「遺伝子組み換え食品」の方が安くて大量に入荷でき、加工もしやすければ、商売人としての立場、あるいは「利益の最大追求」という観念から、そちらを使うという選択肢を採る可能性は十分にある。「危険だといわれているが、問題ないというお墨付きを生産元(国、団体など何でもよい)からもらっているので使用した」といわれれば、グウのネも出ないのもまた事実。
このガイドブックは、遺伝子組み換えの原材料を使った食品か否かでないかについて、「豆腐・油揚げ類」「納豆」「その他の大豆製品」「スープ類」「インスタント麺類」「シリアル」「冷凍食品・チルド食品」「缶詰め・びん詰め」「ベビーフード」「味噌」「植物油」「調味料」「菓子類」「アイスクリーム」のカテゴリーに分けてチェックリストを掲載している。実際にそのリストをここで掲示するのは(量が多いこともあり)止めておくが、掲載されている食品が全体のごく一部であるにも関わらず、数多くの著名な食品が「遺伝子組み換え食品」に該当することが分かる。
スープ類・インスタント麺類・シリアルのページ。緑色のエリアが未使用、赤色が使用している食材。この項目では緑色のものは少なく、特にシリアルは(調べた中では)全滅であるのが分かる(諸事情から赤色エリアはぼかしを入れてあります)。
内容をよく吟味してみると、メーカーによってポリシーが微妙に異なるのも分かる。あるメーカーは一切使用していなかったり、別のメーカーは食品のカテゴリーごとに使っていたりいなかったりなどなど。また、例えばシリアルは全滅(掲載品すべてが該当)など、食品カテゴリーによって偏りがかなり存在するのが分かる。概してインスタント系など「おおもとの食材の形を残していない食品」にその傾向が強いようだ。
前の記事でも指摘したが、そもそも論として「遺伝子組み換え食品」が危険かどうかについては断定をすることはできない。ちなみに当該ガイドフックには
遺伝子組み換え食品にはこれまでになかった毒素やタンパク質が含まれており、それによってアレルギーを引き起こすおそれがあります。また、除草剤に強い遺伝子が組み込まれている場合には、大量に使用された除草剤が作物に残留し、わたしたちの体に取り込まれてしまいます。
遺伝子組み換え作物が商業的に栽培されてから、まだ十年。この技術がわたしたちの健康に長期的にどのような影響を与えるのかは、科学的にわかっていません。最近のアスベスト被害のように、数十年経ってから被害が明らかになったのでは遅すぎるのです
と説明されている。これ以上の説明は不要だろう。
選ぶ、選ばないは個人の主観の自由。しかしリスクを避けるという意味では、この「トゥルーフード・ガイド」のようなテキストを積極的に活用し、食材選びに用いるというのも一つの手だろう。
ちなみに今小冊子が無くとも、その内容は【こちらのページ】で確認できる。こちらでは該当する・しないの他に、会社の方針なども語られている。「使用しない方針です」というコメントと共にその会社の商品すべてが「使用している」というリストがあると「有言不実」なのかそれとも「これからやっていく」ととらえるべきなのか、判断に迷うこともあり、同時に興味深い。
また、意見の中に「遺伝子組み換えの食品は農薬使用量を減らすから地球に優しく食糧問題も解決しうるものだ」という主張があると、「なるほど、そういう考え方もあるのか」と感心させられる面もある。
本来なら国の規定がしっかりしていれば、こんなガイドブックなど必要ない。が、先の記事にもあるように半ば以上「ザル法」である以上、「遺伝子組み換え食品を避けたい」と思っている人には、このようなガイドを用いるなどして自衛するしか手がない。
あるいは、使用していると指摘された企業の株主ならば、株主として意見をするのもアリかもしれない。短期的には利益が減る選択肢を提案していることになるかもしれないが、その人の考えが正しいとすれば、中長期的にはプラスに働くはずである。
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