【更新】「値下げをするなら相当シミュレーションをしなければ」NHK経営委員会委員長が受信料値下げに慎重論

2007年02月14日 06:30

時節イメージ[YOMIURI ONLINE]によるとNHKの受信料値下げ問題についてNHK経営委員会の石原邦夫委員長は2月13日の委員会後の記者会見において、受信料値下げへの体制見直しを9月より前倒しで示すようにと[総務省]側から急かされていることについて「相当のシミュレーションをする必要がある」と述べ、早期のとりまとめに難色を示した。

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これは菅義偉総務相など総務省側が「受信料の支払い義務化をするのだから2割は受信料を値下げしろ。国民への義務化の説明がつかない」として強くNHK側に受信料値下げを求めているのに対し、NHK側では「受信料徴収のために住民基本台帳のデータをよこせ」「9月までには試算してそのあと考える」「将来的には値下げはできるかもしれないが義務化直後には無理だ」「2割は値下げできるというがその根拠を示せ」と反発しているもの。この反発に対し総務省側では「9月では遅い。もっと早くしろ」とツッコミを入れると共に具体的な「2割値下げは可能だ」とする試算データを提示していた。

NHK側では橋本会長と共に今回の経営委員長も「(住民基本台帳のデータは使いたい、受信料徴収を法的に義務化してほしい。けれど)受信料の値下げ確約は出来ない、9月までに試算して、その上で可能かどうか検討する」という姿勢は崩していない。

今回はその姿勢を「相当のシミュレーションをする必要がある。可能性をしっかり見ないといけない」「時間が必要だができるだけ可能性を検討していく」とコメントして再確認すると共に、「NHK内部では会長も経営委員会も一枚板で団結している」という意思表示をしたものと思われる。

これだけ反発を受けている総務省側だが、ここで仮に「そこまで言う(指示に従わない)のなら、受信料の徴収義務法制化は無し。住民基本台帳のデータなど絶対に渡さない」と反抗したらどうなるのだろうか。もちろん今件は先に総務省側が言い始めたことであるので、その前提を自ら崩すことはないだろうが、ここまで面子を台無しにされた総務省としては、「白紙撤回、再検討」というブラフを使う可能性もありうる。

NHKと総務省の「おとなのかけひき」をしているのははたから見ても理解できる。が、駆け引きに酔っていると本当の当事者である「視聴者」から、そっぽを向かれてしまうことを忘れてはいけない。それだけは間違いないだろう。

「2割値下げで2008年度から受信料支払い義務化」(1月11日、菅総務相)
「もう限界だから受信料値下げは無理」(1月12日、NHK会長)
「合理化すれば値下げは可能」(1月16日、総務次官)
「今の受信料のままでは国民が許さない」(1月17日、菅総務相)
「支払いを義務化しても受信料がすぐに増えるわけではない」(1月17日、NHK経営委員長)
「状況を見極めたうえでお答えせざるを得ない」(1月17日、NHK橋本会長)
「きちんと説明できる態勢作りをしろ」(1月17日、菅総務相)
「値下げはすべきだが受信料義務化で契約者数が増えてから」(1月18日、民放連会長)
「徴収コストがかかりすぎ。抜本的な見直しをして数値目標を設定しろ」(1月26日、菅総務相)
「値下げは将来的にはしたい。でも分からない。具体的な数字は挙げられない」(1月26日、NHK橋本会長)
「料金体系の抜本的見直しを9月までにまとめる。その中で可能ならば値下げを考慮する」(1月31日、NHK橋本会長)
「受信料支払いの対象を把握するために住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)を使いたい」(2月1日、NHK橋本会長)
「9月では遅い。もっと早く結論を出せ。住基ネットなど必要は無い。現在の住民票による調査で十分だ」(2月2日、菅総務相)
「住基ネットのデータは不必要。既存システムでやりくりしろ」(2月5日、総務省松田隆利事務次官)
(ここまでで「2割値下げと総務省は言うがその根拠を示せ」NHK側)
「2割値下げの根拠を4パターンに分けて提示した。今後さらに精査してつめていく」(2月5日、総務省)
「色々考察する必要があるので値下げができるかどうかの試算に9月までかかることは譲れない」(2月13日、NHK経営委員長)←今回はここ


(最終更新:2013/08/23)

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