NHKの受信料徴収で「住基ネットを使いたい」との要望に総務次官も慎重姿勢
2007年02月06日 08:00
先に【「9月では遅い、もっと早く」NHK受信料値下げ検討に総務相が催促】でも報じたように、NHKの受信料問題でNHK橋本元一会長が受信料の回収率を高めるため、「視聴者の転居などを把握する」という名目で「住民基本台帳ネットワークを活用したい」と要望している件について、総務省の松田隆利事務次官は2月5日記者会見にて「法的根拠や安全性の問題、個人データの保護の問題がでてくる」と指摘し、慎重姿勢を見せた(【参照:NIKKEI NeT】)。
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この「住基ネットを使いたい」という要望は、NHK側の主張によれば、「住基ネットのデータがあれば、視聴者の転移先把握が容易になる。そうすれば受信料の回収率も高くなるし、回収コストも抑えられる。受信料の回収効率化を図れと国が主張するのなら、それくらいの便宜は図ってくれても当然だろう」というもの。
これに対し総務省側ではすでに菅義偉総務相が即座に「そう簡単な問題ではない。住民票の写しで対応できる」と反論していたが、今回の総務次官の発言により、国側としては応じられない姿勢であることがあらためて確認されたことになる。松田総務次官はさらに「引っ越しや死亡などで自治体が住民票を抹消した際に残す除票の発行を使えば問題ない。今ある仕組みの利用を徹底してほしい」と具体的な方法論を語り、NHKに「今の環境を有効活用しろ」とたしなめる意図も表明している。
先の記事でも述べたが、NHKが放送法で守られた社団法人であるとしても、あまりに傍若無人な発言を(上層部が)繰り返すようでは、現場や中堅どころが素晴らしい仕事をこなしていても全体的なイメージが低下してしまうことは避けられない。真に思うところは別にあるのかもしれないが、それにしても普通の考えなら「住基ネットを使いたい」とトップの立場にある者が堂々と発言すること自体、「どうなのよ、それ? 」という思考が働かないのか、不思議である。
「2割値下げで2008年度から受信料支払い義務化」(1月11日、菅総務相)
「もう限界だから受信料値下げは無理」(1月12日、NHK会長)
「合理化すれば値下げは可能」(1月16日、総務次官)
「今の受信料のままでは国民が許さない」(1月17日、菅総務相)
「支払いを義務化しても受信料がすぐに増えるわけではない」(1月17日、NHK経営委員長)
「状況を見極めたうえでお答えせざるを得ない」(1月17日、NHK橋本会長)
「きちんと説明できる態勢作りをしろ」(1月17日、菅総務相)
「値下げはすべきだが受信料義務化で契約者数が増えてから」(1月18日、民放連会長)
「徴収コストがかかりすぎ。抜本的な見直しをして数値目標を設定しろ」(1月26日、菅総務相)
「値下げは将来的にはしたい。でも分からない。具体的な数字は挙げられない」(1月26日、NHK橋本会長)
「料金体系の抜本的見直しを9月までにまとめる。その中で可能ならば値下げを考慮する」(1月31日、NHK橋本会長)
「受信料支払いの対象を把握するために住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)を使いたい」(2月1日、NHK橋本会長)
「9月では遅い。もっと早く結論を出せ。住基ネットなど必要は無い。現在の住民票による調査で十分だ」(2月2日、菅総務相)
「住基ネットのデータは不必要。既存システムでやりくりしろ」(2月5日、総務省松田隆利事務次官)←今回はここ
(最終更新:2013/08/23)
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