【更新】「9月では遅い、もっと早く」NHK受信料値下げ検討に総務相が催促
2007年02月03日 19:00
先に【NHK受信料の値下げ、橋本会長「9月めどに見直し案」】で報じたようにNHKの受信料支払い義務化と値下げに関して総務省(総務相)とNHKとの間で繰り広げられている攻防戦において、NHK側は「9月をめどに受信料の徴収方法や料金体系の抜本的見直し案をまとめ、値下げも検討する意向」を示したが、これについて菅義偉総務相は2月2日の閣議後の記者会見の中で「(9月では遅いので)もっと早く結論を出してほしい」と発言、早急に受信料値下げの検討を行うよう事実上の催促を行った。
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[産経新聞]によればNHK側では「2007年の義務化に伴い値下げは無理」としており、これについて菅総務相は「なぜ9月なのか。そんなに時間をかける必要はまったく無い」と批判。さらにNHK側が受信料収納率を上げるために転居情報などを把握する理由から「住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)を活用できるよう求めている」ことに対し、「そう簡単な問題ではない。住民票の写しで対応できる」と否定的なコメントもしている。ちなみに後者の「住基ネットを使いたい」というNHKの発言は2月1日の定例会見の中で橋本元一会長が述べたもの。
理由として「使えるものは何でも使う」という考えは分からなくも無い。が、放送法で保護されているとはいえ、「法律で受信料を義務化」してもらいさらに「住基ネットのデータも利用する」となれば、特殊法人どころではなく、国営化したも同然だろう。仮に一般の企業が「配送に使いたいので」「貸したお金を徴収したいので」と住基ネットのデータを使いたいと要求したところで、笑われて門前払いされるだけだ。NHKだから問題なし、とでも考えたのだろうか。総務相が不快感を表明したのも理解できなくはない。
鳥とけものの間を行き来しておいしいところをつまみ食いしようとした「鳥とけものとこうもり」のイソップ物語ではないが、受信料徴収にあたっては「法的義務化」「住基ネットデータがほしい」とダダをこね、政府から放送の要請があれば「報道の自主化・自立化」を旗に掲げて反発し、挙句の果てに値下げ要求にも理由をつけてのらりくらりとかわすのみ。民間と国営のおいしいところだけを取捨選択してふところに納めようとしているのでは、NHKはそう遠くないうちに「こうもり」のように、政府からも国民からも背を向けられてしまうことだろう。
現場では(一部をのぞき)状況を改善しようと努力しているようすがうかがえるだけに、経営陣の「問題」がさらにクローズアップされるような気がしてならない。また、国民の目から見てあまりにも「?」マークがつくような発言をNHK側が繰り返すと、(それすらもコントロールできないのかと見られ)政治家への不信も高まるのでは、と危惧する向きもある。今後の両者間のやり取りを引き続き注目していきたいところだ。
「2割値下げで2008年度から受信料支払い義務化」(1月11日、菅総務相)
「もう限界だから受信料値下げは無理」(1月12日、NHK会長)
「合理化すれば値下げは可能」(1月16日、総務次官)
「今の受信料のままでは国民が許さない」(1月17日、菅総務相)
「支払いを義務化しても受信料がすぐに増えるわけではない」(1月17日、NHK経営委員長)
「状況を見極めたうえでお答えせざるを得ない」(1月17日、NHK橋本会長)
「きちんと説明できる態勢作りをしろ」(1月17日、菅総務相)
「値下げはすべきだが受信料義務化で契約者数が増えてから」(1月18日、民放連会長)
「徴収コストがかかりすぎ。抜本的な見直しをして数値目標を設定しろ」(1月26日、菅総務相)
「値下げは将来的にはしたい。でも分からない。具体的な数字は挙げられない」(1月26日、NHK橋本会長)
「料金体系の抜本的見直しを9月までにまとめる。その中で可能ならば値下げを考慮する」(1月31日、NHK橋本会長)
「受信料支払いの対象を把握するために住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)を使いたい」(2月1日、NHK橋本会長)
「9月では遅い。もっと早く結論を出せ。住基ネットなど必要は無い。現在の住民票による調査で十分だ」(2月2日、菅総務相)←今ここ
(最終更新:2013/08/23)
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