【更新】日興(8603)、シティ・グループの傘下の方向で交渉。完全子会社化も

2007年02月24日 07:00

【日興コーディアルグループ(8603)、不明瞭会計で社長・会長らの進退が問われる】でも報じたように不正会計問題で信用を失う形となり現在財務諸表の再提出を求められ監理ポストにある【日興コーディアルグループ(8603)】が、アメリカの金融大手シティ・グループから事実上傘下におさまるようにと交渉を持ちかけられていることが、[読売新聞]など報道各社によって報じられた。各誌が一斉に報じているため、関係筋が一斉に「告知」したものと推測される。

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元記事によると早ければ来週にも合意に達し、シティグループが日興側の株式の保有比率を議決権ベースで現在の4.9%から33.4%以上(1/3以上、重要案件における拒否権発動が可能な数)に引き上げる案が有力だという。提携によってシティグループは日興側に役員を派遣、株式の引き受けなどの主要業務で包括的な提携を実施する。具体的にはシティグループが来月にも株式公開買い付け(TOB)で必要数の日興株を取得。これは概算で3000億円以上の資金が必要となる。

現在【日興コーディアルグループ(8603)の不適正決算問題、全面的に認め、監理ポストへ】にもあるように、日興銘柄は監理ポストに置かれている。財務諸表の再提出の上、【日興(8603)上場廃止の是非、東証は「3月半ばに結論」との考え】で報じたように3月中旬には上場廃止か否かの決定が下される予定だった。また、今件に際し、大株主の【みずほ(8411)】が支援に乗り出す動きも見せていた(参照:【日興コーディアル(8603)、みずほ(8411)に出資拡大を要請・経営基盤安定が狙い】)。しかし今回、同じく大株主のシティグループが買収に乗り出したことで、みずほ側は対抗策を採る可能性は低いと見られている。

シティグループ側では仮に日興が上場廃止になっても傘下に加える方針に変更はないようで、さらに株式を買い進め完全子会社化に踏み切る選択肢も用意しているという。この場合、東証側で上場廃止についてどのような結論を出そうとも、結局日興は上場廃止となる。

シティグループによる日興の傘下、買収の目的だが、シティグループ側では「日興を日本の金融戦略の核と据える」、日興側では「不正会計問題で失った信用回復を果たす」というように、両社ともメリットがあり、今回の話も非常に現実味を帯びたものとなっている。ただ、【野村證券(8604)】【大和証券(8601)】と共に国内三大証券と呼ばれる大手証券会社の一角が外資の傘下に入ることで、日本の金融機関に与えるインパクトは相当なものがあることは間違いない。

今件について日興側では深夜の0時24分に[プレスリリース(PDF)]を出し、「特定の社名も含めて、交渉に関わるコメントについては、一切申し上げられません。当社は開示すべき重要事実が決定した場合には、速やかに適時開示する方針です。」とコメント。否定も肯定もしていないことから、事態が伝えられているような内容(あるいはそれに近い形)で、進行中であることが推測される。

日興については3月の東証側の上場廃止の是非の決断を前に、さまざまな駆け引きが行われていたようだが、今件が事実だとすればまさに「トンビに油揚げをさらわれた」形となる。週明けの市場展開が気になるところだ。

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