シリアスゲームの本格的解説書「シリアスゲーム-教育・社会に役立つデジタルゲーム」2月20日に発売

2007年02月17日 06:30

ゲームイメージ東京電気大学出版局では2月20日に、「シリアスゲーム」と呼ばれるジャンルのシミュレーション系ゲームについて詳細に説明・分析した書籍『シリアスゲーム-教育・社会に役立つデジタルゲーム』を発売する。定価1900円(税別)。

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シリアスゲームとは「シミュレーションゲームを中心としたシステムを用いて、教育や食糧問題など各種社会の問題を解決する方法を模索、あるいは啓蒙していくゲーム」そのものや開発、プレイを総称する言葉・カテゴリー。ゲームという「遊び」に深みと意義を持たせ、新たな方面での活用法として注目を集めている。また、特にシミュレーションゲームというジャンルではより「シミュレーター」に近づけ、特定の意図をアピールさせる狙いを持つゲームとして世に送り出されるシリアスゲームも増えている。

「シリアスゲーム」というジャンル・概念そのものは2000年以降に生み出されたものだが、それまでにも似たようなコンセプトのゲームはいくつも登場していた。しかし「シリアスゲーム」という定義が行われたことで、それ以降は積極的にその考え方を取り入れるゲームが増え、今日では新しいゲームジャンル、研究領域を形成するほどに広まりを見せている。また、「ゲーム」というジャンルの社会的地位を向上する(単なる「遊び」としか見ていない層へのアピールも含む)点でも注目を集めている。

今回発売される「シリアスゲーム-教育・社会に役立つデジタルゲーム」では、「シリアスゲーム」という考え方が改めて世の中で定義されるようになった時期から欧米のシリアスゲームコミュニティの中で研究を続けてきた著者が、教育工学者の立場からこれまでのシリアスゲームの取り組みの動向、日本のゲーム産業やゲーム文化の事情を考察し、日本におけるシリアスゲームのあり方を示す内容となっている。

日本では「ゲームは遊びに過ぎない」という考え方や、「ゲームは子どもの領域で大人が首を突っ込むものではない」という文化的軽視の傾向があり、ゲームそのものへの研究もあまり行われていない。そのため例えばいわゆる「ゲーム脳」などというトンデモ学説が提示されてもそれに正論で反論するだけの人材や環境がそろっていない現状がある。

今書のような「ゲームジャンルにおける教育関係者など専門家らによる学術書」が次々と発刊されることで多くの人の目に留まり、社会に正しく認知されることを望みたいものだ。


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(最終更新:2013/09/12)

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